2009年 08月 08日
あふれる夜 |
何度も何度もエントリを書こうとして、「よし!完成」と思ってエンターキーを押したら、何かの手違いで完成した文章が消えてしまったりしてなかなか更新ができないでいた。書いてる途中で行き詰まって、別のページをぼんやり見てたりだとか、何か他の仕事をしつつ書いたりだとかしていたのがよくなかったのかもしれない。簡単なことができなくなりつつあるような気がする。危険信号である。
毎日毎日おもしろいくらい暑くて、本当にもうおもしろくない。マメな性格なのでせっせせっせと汗で濡れた服を洗濯するのだが、洗っても洗っても追いつかないような気がする。そして毎日どれだけ同じものを来ているかということに気づかされたりする。もう20代だって長くはないのに、いまだに流行とオシャレは二の次である。このままじいさんになりそうだ。おしゃれじいさんはこうやって誕生するのかもしれない。
今日は仕事が早く終わり、職場の人と仕事終わりに飯でも食いにいこうということになったので、先に上がった僕は彼の連絡を待っていたのだが、一向に連絡が来なかった。しょうがないから近くの店で一杯やりつつ待っていたのだけれど、それでも連絡が来ない。今日は駄目そうだなと思っていると電話が来た。話を聞くと何やら職場の後輩の女の子から相談事を受けていたらしい。
最近の彼女の顔色があんまり優れないのが気にはなっていたのだけれど、やはりいろいろとたまっていたらしい。話を聞いているうちに遅くなっていたそうだ。
「それだけじゃなくってさ、ほらこないだオレが連れてきた女の人いただろ?彼女が急にさっき電話かけてきてさ、なにやら泣きながらオレに話したいことがあるらしいんだよ」
彼はそう言って今日は行けそうにないと弁解した。まあおおかたそんなとこだろうと思っていたので、別によかった。
「まあ大潮の夜だからね」
と僕は言った。
「大潮?」
「ほら、満月の夜とか新月の夜は出産とか殺人とか起こりやすいじゃない?何かといろいろ溢れてしまう時なんだよ、こういう日は。満月の夜とか低気圧の近い日だとかはそれにあてられちゃう人が多いんだ」
と僕は言った。
「おまえは冷静だなあ」
と彼は言った。
「にしてもなんか産婆さんみたいだね、Kさん」
と僕は言った。
「うるさい」
そんな風にして僕は酔いどれマスターの店を後にした。その後で今度はラーメン屋に入った。飯を作るにはもう遅くなり過ぎていたからだ。
「今日はなんだか空いてますね」
カウンターでいつものおばちゃんに話しかけた。
「なんでだろうねえ、みんな雷鳴ったんで帰っちゃったのかな?」
「そうかもしれないですね」
僕はいつも頼むラーメンを頼んでコップの水を飲んだ。サラリーマン風の男が一人入ってきて、カウンターの僕の席の隣に座った。
「塩ひとつ」
とぼそっと注文をした。そして氷水を一杯飲むと、大きくため息をついた。
いろんなものが溢れる夜なのである。
soundscape
by itr-y
| 2009-08-08 01:40
| 日常