2009年 12月 05日
Markt |
クリスマスまでの4週間にかけての毎週末。
街のあちこちで屋台が建ち並ぶ。
クリスマスマーケットと呼ばれるこの蚤の市では、たくさんの人でにぎわっていた。
ドイツもけっこういろんな移民がいるから、それほど白人だらけという訳でもないだろうと思っていたら、きれいにみんなゲルマン系の白人だけだった。
市街をうろついて生活物資を買ってこようと繰り出したのだが、いつの間にやらこのマーケットに足を踏み入れて、両端まで全部みてまわってしまった。
どの店もひとつひとつ写真に収めたいのだが、買いもしないくせに下手に撮る訳にもいかないので、あんまり無理しないで撮れる範囲で撮ってみる。
多分みんな言えば撮らせてくれるんだろうけど、でもその辺は遠慮してしまうのである。
けっこういろんな人が自分で作ったとおぼしき作品を売りに出していた。
アクセサリーやなんかも人によって様々だ。どれもとても美しい。
アクセサリーはかさばるし壊れやすいのであまり買わないのだが、どれもこれもとても欲しくなってしまうようなものばかりである。
掘り出し物を見つけるたびにもんどりうってしまう。
そんな中で僕が購入したのはウールで作られた室内スリッパである。一足で40ユーロくらいだった。
どうしても単純に「1ユーロ100円くらい」という感覚で考えてしまうのでほいほいと買ってしまうのだが、よくよく考えてみると今1ユーロ134円。
134×40=5360円なのである。
高っ!!
でも帰ってからこいつをはいてみると、これが非常にあったかい。しんしんと底冷えする室内でこれはそうとう重宝するものになりそうだ。
ドイツのアパートメントはレンガと漆喰が基本で、暖房器具と言えば窓際にあるヒーターぐらいのものである。多分、断熱材なんてものは入っていないんだろう。作られたのがおそらく半世紀から下手すると100年くらい経っているものももざらにありそうだ。
ハロゲンヒーターがこれほど恋しくなったことはない。だからこそこのウールのスリッパは良い買い物だったと思う。帰ってからも使いそうだ。
市場を歩いていていると途中でバロック音楽が聞こえてきた。
「おや?」と思って行ってみると、ハーメルの笛吹きみたいな風貌をした人がギターを弾いていた。
こういうのを探しに来たようなものである。演奏が終わってコインをケースに入れて、並んでいるCDはいくらするのかと訊いてみた。
「12」
コインで渡して一枚購入した。
ラッピングも何もされていない、ジャケットと本体の印刷のみのCDだった。演奏との品質の差が激しい。多分、本当に芸術家タイプの人なんだろう。
「Do you have any website ?」と英語で尋ねると、CDのジャケットの内側
を指差した。
「OK、ちょっと見てみます。あなたの演奏は『Amazing』だ」と言うとamazingの意味が分からなかったのか、ちょっときょとんとしていた。
体が冷えて来たのでなにか食べようかと思ったのだが、よく見るとみんな手に湯気の立つマグカップをもっている。なんだろうと思って屋台をのぞいてみるとどうもホットワインのようだ。
グリューエルワインというらしい。一杯3ユーロ(¥390くらい)。
最初に6ユーロ払って、マグカップを返却すると3ユーロが戻ってくる。デポジットというやつだ。ドイツは環境先進国でもあるけれど、こういうところで早速感心してしまった。
酒にそんなに強くない僕はこんなもの飲んでふらふらになってしまいやしないかとちょっと不安でもあったけれど、暖かく甘みのある味は優しく体を芯から温めてくれた。
ああ、外国にいるんだな。
教会とテレビ塔を交互に眺めながらあらためてぼんやりとそう実感した。
soundscape
by itr-y
| 2009-12-05 03:54
| ベルリン