2009年 12月 12日
骨董市 |
近未来的なテレビ塔のあるアレキサンダープラッツから、電車でちょっと行ったところにティーアガルテンという駅がある。
こちらの方はベルリンの中心市街と違って、あたらしい街並が広がっている。議事堂や首相府などがあるところから近く、ベルリン中央駅は未来的なデザインの印象的な駅だ。
そこを越えるとティーアガルテンなのだけれど、小雨の降るのにも関わらず骨董市には多くの人が来ていた。
けっこう熱に浮かされて出費がかさんでしまったので、なるべく出費を抑えた観光にしようと思ったら骨董市ぐらいしか思いつかなかったのである。
ここの骨董市は業者さんがけっこう出入りするところで、普通なら捨ててしまうようなものがわりとたくさん売られている。
カトラリーなんかは何代にもわたって大事に使う習慣がヨーロッパではあるけれど、大事に使うのはそういったものだけではないのだなということがこの市場をのぞいてみてよくわかった。
その中でいかにもドイツらしいなと思ったのは大工道具。ギルド制度の国らしく、かんなや手鉈、のこぎりやのみなんかが置いてあった。
道具を見ると買いたくなってしまう。ナイフかなんかがあれば欲しいなと思ったのだけれど、あいにくとそういったものはないようだった。
今回の旅で、一本だけ料理用のペティナイフを買って帰ろうという目的がある。
ドイツと言えばゾーリンゲンの刃物が有名だけど、ヘンケルスみたいな大量生産品は欲しくないので何かないかなと思っているのだが、やっぱりフリマに行ってみたくらいではなかなか見つからない。
もうちょっと調べてから探した方が良さそうだ。
ところでどうでもいいことなんだけれど、小雨が降っていたにも関わらず道行く人はみんなあまり傘をさしていなかった。
ドイツに来てから不思議に思ったのはこの傘の問題で、あんまり傘を差すという習慣がないようなのである。
日本だったらちょっとぱらついて来たらみんな三々五々傘をさしはじめるものなのだけれど、こっちではそうとうざあざあ降り出さない限りみんな傘をささないのだ。
最初は傘がないのかななんて思っていたのだけれど、けしてそんなことはなくあるにはあるのである。ただあまり売っているのを見かけない。
僕自身ようやくキオスクで折りたたみが売っているのを見つけて買ったくらいである。あんまりぬれても気にしないようだ。
しかしどの品物もとても古い。下手したら前世紀以上前のものもあるんではないかと思ってしまう。ドアノブや、その他の真鍮製品のデザインはさすがにヨーロッパならではのウィットにとんでいて、蛙のキャラが多いのには笑ってしまった。
どの国でもカエルは擬人化されやすい。
思わず買いたくなってしまったけれど、真鍮なんて重いっつーのとつぶやいてやめる。欲しいもの全部買っていたらきりがないというのもあるが、もちょっと帰る間際になってから買う方がいいなと思ったのだ。
仕事をやめて時間もあることだし、予算の許す限り滞在する予定なので今ようやく家計簿とにらめっこしながら先のこともぼんやり視野に入れつつある。
時間があるようでけっこう忙しい。
家具や調度品もたくさんあった。
雨ざらしでもあんまり気にしない。
ちょっとは気にしようよ。
一回りしてみて一番面白かったのが古い絵である。
正確にいうと絵ではなくて、印刷されたものなのだが、機械の分解図や生物図鑑、そして風景画や当時のファッション誌かなにかに使われたであろうイラストもあった。
昔の人の話でよく輸入物のドイツの生物図鑑が欲しかったけれど、当時の月給の何倍もの値段がするので買えなかったという話を聞いたけれど、たぶんその多くがこうしたイラストを使っていたのだろう。
すべてのイラストが写実的で正確かつ美しい。
こうした戦前の雰囲気をもったイラストは見ていて飽きることがない。
今見ると生物のイラストも突っ込みどころがいろいろ多いのだけれど、当時の日本人たちが手元に持っておきたくなる気持ちは痛いほどよくわかった。
これを越えるものは他になかったろうから。
それにしてもまあいろんなものが商品になるものである。ガビガビにさびた錠前なんかをみているとなんとも感慨深いものがある。
あと面白かったのは手芸屋さんのボタン。
これだけボタンがあればたぶんあなたが探しているボタンもあるはずである。
soundscape
by itr-y
| 2009-12-12 19:17
| ベルリン