2009年 12月 26日
くるみ割り人形 |
クリスマスは結局どこにも出かけなかった。
どこに行けばいいのかよくわからなかったというのもあるけれど、クリスマスはこっちでは国民の祝日で、街が水を打ったように静まり返っている。
ベルリンの市内でもやっている店と言えばトルコ人の店と、いくつかのレストラン、そしてクラブぐらいのものである。
あっちこっちうろついて写真を撮ったりしてみたのだけれど、あっちこっち回っているうちになんだか疲れてしまって部屋に帰ることにした。
そんなこんなで部屋で一人静かに安いワインを飲みつつ、ゆっくり過ごしていた。
暖かくなったのはいいことだ。
そしてぼんやりと一年前のことを考えていた。
24日の夜にそうやってゆっくり夜更かししていたら、翌日起きたら午後3時くらいになっていて笑ってしまった。
「やれやれ」と頭を掻きつつ、PCを開いた。
なにやってんだろうなあ。外では珍しく強い風が吹き荒れていてもはや外出する気も失せていた。部屋にこもっていよう。それがいい。
そしてベルリン市内のいくつかのコンサートの情報を見ていた。
「そうだ、くるみ割り人形を見なくちゃ」
ふと思い出して調べてみるとコンサートがあった。クリスマスはすぎていたけれど26日の夜にコンサートがある。ベルリンフィルのサイトの英語バージョンをたどってネットでチケットを購入した。
これで多少はクリスマスらしいイベントができたわけだ。
時々思うんだけれど、このクリスマスの時に「なにかちょっとでもそれらしいことしたいな」と思ってしまうのってなんなんだろう。
会場に行ってみてそこで初めて教会でやるということに気づいた。よくみたら会場の名前にオーウェンキルヒェ(オーウェン教会)と書かれていた。
ベルリンフィルのページから予約したから、てっきりコンサートホールでやるのかと思っていたのだけれど、いろいろとタイプがあるらしい。
僕が予約したのは教会でのピアノリサイタルだったようだ。二人の女性ピアニストが演奏していた。きちんとくるみ割り人形もやってくれた。
バレエをやっている人間が周りにいたからか、子供の頃のクリスマスのイメージはこのくるみ割り人形と常にセットになっている。
チャイコフスキーのこの楽曲群が好きで、今聴いても編曲のセンスの良さ、構成の緻密さに驚かされる。どうやったらこんな曲を書くことができるのだろう。
教会自体は古いもので、いちおう暖房も付いてはいるものの少しさすがに少し寒かった。こちらに来て大きな建物に慣れてしまったのでそれほど驚かなかったけれど、よく考えたら教会の中に入ったのはこれが初めてだった。
大きなステンドグラスがかけられている。
こういう教会が街のあちらこちらにあって、毎日決まった時刻になると時を知らせる鐘が鳴る。どこにいてもたいがい聞くことができる。
コンサートが終わって二人の女性ピアニスト。カーディガンを着た白髪初老の女性と、その娘みたいな真っ赤なドレスを着た二人だった。
ようやくクリスマスらしくなったかな。
ちょっと満足して一人地下鉄に乗って返った。
soundscape
by itr-y
| 2009-12-26 04:41
| ベルリン