2010年 01月 07日
Salon Petra |
7日の日はとあるライブハウスに行って来た。
例のギターショップで知り合ったミュージシャンのライブである。
マチアスはある時店に行ったらたまたま試奏をしていて、その時知り合ったのだ。ジャズギターがとても巧くブルーノートスケールを無尽に行ったり来たりしていた。
この店にくると何かとすごい演奏家に出会えるので、まあまず退屈することが無い。どんなストリートミュージシャンもだいたい日本のそれよりもレベルが高いのである。
半分乞食みたいなおばちゃんでも巧いのだ。ただ難点は「それしかできない」という人がおおいことくらいか。特にストリートの人にはその傾向が強いようだ。
彼のプレイがなかなか面白かったので、ライブとかやってるのと訊いたら場所と日にちを教えてくれたのである。
この日のライブまでの間に僕は偶然にもマチアスと地下鉄の駅で会ってなんとも不思議な縁を感じた。ギタリストなんだけど ジンジャー・ベーカー みたいな顔をしているのである。なまっているところとかもそっくりだ。
Salon Petra(ペトラのサロン)といういかにも場末な感じのするライブハウスで、特になにか前口上があるわけでもなく、演奏は始まった。
そもそも客なんかほとんどいないのである。やけに気のいいマスターにKindolをひとつ注文し、一人でちゃっかりと特等席に座ってスタンバイをしていた。
その日のステージは彼ともう一人のピアニストの演奏だった。後でチラシを見てみたらマチアスの名前は無く、そのピアニストの名前があった。たしかに彼の演奏は巧くていつも走り気味になってしまうマチアスを巧くフォローしながら、かっちりとした演奏を聴かせてくれた。
ブルースである。
ピアニストがはじき出す音は繊細さとはほど遠いものだったけれど、軸がぶれない骨太なものだった。ブルースファンてどこにでもいるんだなと僕は思った。ドイツ訛の「Key to the highway」はなかなか面白かった。
何曲か彼がリードした後で、マチアスの得意な「枯葉」が始まった。ピアニストもよく一緒にやっているらしくすかさずそれに応じる。バッキングになるとちょっと走り気味になるけれどそれの切れ味はよくて、彼がブルースではなくあくまでもジャズギターなんだということを実感した。
ステージが終わった後で、これミュージックチャージとかいつ払うのかなと思っていると、店の主人がドイツ語で「クリスチャンとマチアスに盛大な拍手を!」といいその後、帽子を持って各テーブルをまわって来た。
なるほどね。
僕は帽子の中にいくばくかを入れた。こういうのって肩肘張ってなくていいなと思った。あんまり払いたくなければ払わなければいいし、払いたければたくさん払うことだってできるのである。
日本みたくあらかじめ料金が決まっているわけではないみたいだ。
マチアスとピアニストに挨拶をしてカウンターで勘定をしてもらった。その時ふと思いついて主人に訊いてみた。
「ここでは毎日ライブをやっているんですか?」
「ええ、そうです。たいてい毎週水曜日はジャズ、木曜日はブルースであとはまあ、いろいろかな」
「知り合いにスパニッシュギターのプレイヤーがいて彼が演奏できるところを探しているんだけれど、ブッキングってできます?」
「もちろん。メールアドレスをそこに書いて行ってくれれば後でまたメールしますよ。連絡とって日程を調整します」
「なるほど。わかりましたありがとう。彼にもちょっと訊いてみます」
なんでまた自分ではなくパブロのことが浮かんだかというと、この箱がわりとジャンルレスな感じだったからだ。もっとも、パブロの場合観客が大勢いなくては意味が無いのかもしれないからレストランとかの方がいいのかもしれないけれど、少なくともブッキングできることは分かった。
自分でやることだって可能なわけだ。まあ地元の常連さん以外にどれだけ動員できるかという問題はあるけれど、寒い駅の構内で震えながらやるのよりはずいぶんマシだろうと思う。
こちらに来て自分の曲作りもしていたので、これはひょっとしたら本当にできるかもしれないなと思った。
soundscape
by itr-y
| 2010-01-07 19:30
| ベルリン