2010年 01月 12日
ベルリンの黒い森 |
気がついたらフォトライブラリが夜の写真ばっかになって来ている。困ったなあ。
出歩かないとお金は使わなくてすむのだけれど、こういうところが困る。写真ブロガーのジレンマというのか。写真を撮りまくっていると更新する時間がなくなるし。
ストックした写真を使い切ると、更新できなくなる。
理想的なのは毎日とって、その日のうちのフレッシュな写真を新聞よろしく掲載することだと思うんだけれど、なかなかそういうのって暇人の自分でも難しい。
だからフィルムで更新している人を見るとつくづくすごいよなと思う。
お金も時間もないとできないわけだ。たぶん更新が滞ったときはこのどちらかかあるいは両方が少なくなっているんだろう。う〜む、難しい。
家にいて何をしていたかというと、これからちょっと出かけるための情報集めと旅程の組み立て。そして浅い付き合いだけど、もう一度会ってみたいなという人にメールを打ったり、プライベートな手紙を書いたりしていた。
家族とお世話になった人にクリスマスカードを送って以来、手紙を書くのは久しぶりだった。手紙もメールも何かとミスが多いたちなので、何度も何度も書き直して、何度も何度も見直しをした。
そのぐらいやってもどっか間違っているというくらい、僕のケアレスっぷりは凄まじいものがあるので、こいつを書くのには非常に難儀した。
書いているとピンポーンとベルが鳴った。
ベルが鳴るなんてことはまずないのだけれど、出てみるとまるで特殊警察みたいな人が立っていて、ドイツ語で何事かペラペラとしゃべった。
僕は服装と持ち物で何となくピンと来たので、お願いしますと英語で言って招き入れた。
いわゆるガスの検針というやつだ。
ドイツでは、というよりヨーロッパ圏では窓際にひだ状のオイルヒーターがつけられていて、それが主な暖房方法となっている。他に暖房器具というのは基本的になく、そのオイルヒーターのみで暖房をまかなうのだ。
来た当初はこのヒーターの効きが悪くて、がたがた震えていたのだけれどそのうちに効きが良くなり、そしてなんとなく寒いなと思っていた原因が玄関ドアの下の隙間から吹き込む風だということがわかって、そこをタオルで塞いだらずいぶんとマシになった。
日本の家ならドアにはゴムで目張りがしてあると思うけど、そんなもんはないのである。よく見たら台所のサッシも隙間があいていた。
こりゃあ寒いわな。
僕の家は最上階の5階で、下から冷たい空気がすうっと上がってくる。まだ寒いっちゃ寒いのだけれど、ようやく人間的な部屋になった。めでたしめでたし。
おじさんはあっちこっち暖房の使用量を見て、書きかけの手紙と日本語のサイトが珍しかったのか、一瞬机の上を見やった。最後に自分のサインをして終了。
なんとか手紙を書き上げて、気分転換に外に出る。もう真っ暗だった。早く明るい季節にならないかななんて、そんな季節がくる前に帰ってしまうというのにそう思った。
この街で自転車に乗りたいと思っていたのだ。
来たときはおしゃれなロードバイクを買って、そいつで街中を走ろうと考えていたので、もしも雪のない季節に来ていたら自転車を買おうと思うのだ。
先日、街をうろついていたらなかなか雰囲気のある自転車屋をみつけてふらふらと中に入って行った。細身のロードバイクがたくさん置いてある。ママチャリだとかクロスバイク、マウンテンがないところを見ると、わりと硬派な僕好みの店だ。
しばらく美しい自転車達に見とれていると、奥から店員が出て来て「なにかお探しですか?」と尋ねて来た。
「いや見ているだけです」
と応じると、「どちらの国の方?」と来た。
「ヤパン(Japan)]
なんでお国なんか訊くんだろと思ったら、奥の方からどう見ても日本人な人が出て来た。果たしてやっぱりそうで、「あの、日本の方ですよね?」と訊くと、「そうです(笑)」と答えてくれた。
どうも気を利かせてくれたらしい。
その人は埼玉からこちらに来たそうで、ここで努めて1年ほどになるのだそうだ。僕が雪がひどいから自転車あきらめたんですよというと、彼も「そうですねぇ、この天気じゃあ。僕もすぐ近くの自宅から乗って来てるぐらいですからね」と言った。
じっさい自転車に乗っている人の姿はちょっと減った気がする。それでもしっかり乗る人はたくさんいるんだけれど、雪のなかった頃に比べれば少なくなった。強引なドイツ人もさすがに雪には勝てないらしい。
店にあった自転車はどれもクロモリ製のラグ付き自転車で、イタリアの格調高い香りのするスポーティで、そしてなおかつおしゃれな自転車達がたくさんあった。
中にはピストもあって、こっちはちょっとニューヨーク風に仕上げてあった。
かっこいいなあ。
そのどれもだいたい600から700前後ということだったので、10万を越えないラインが主力商品らしい。ラグ付きのクロモリ車がほとんどハンドメイドで10万で手に入るんだったら、安いものである。日本で言うとVigoreとか TOKYOBIKE とかあたりだろうか。
どれも手仕上げ感があって、どこか渋いベルリンならではのテイストもある。
かっこええな。
店の主人がもとデリバリー(メッセンジャー)をやっていたそうである。自転車業界はこっちでもなかなか就職が難しいらしく、実務経験がものを言うのは日本と同じらしい。
Kさんというその人はお店のはがきを一枚くれた。
ウェブサイトがあるということなので興味のある自転車ファンはちょっとのぞいてみていただきたい。欲しくなること請け合いである。
本当に今回の旅は「犬も歩けば棒にあたる」を地でいっている感がある。
さて、今日はちょっとまた散歩するかな。
CICLI BERLINETTA
Fehrbelliner str 5 10119 Berlin
030-960-883-23
Open Tuesday-Friday 12-20, Saturday 12-16
soundscape
by itr-y
| 2010-01-12 19:47
| ベルリン