2010年 03月 09日
もつれる足 |
とてもいいタイミングでチャンスが来たというのに、僕はまたしても自分の都合で棒に振ってしまいそうになりつつある。なんとか間に合えばいいのだが、たぶんもうあきらめて次の仕掛けを放り込んどいた方が良さそうだ。
向こうにいる間、多少は行動のスピードが速くなったかと思ったのだけれど、のんきな性格は相変わらず変わっておらず、ぼんやりとしている間にどんどん隙間から水がこぼれていっている。
気がついたら何もなくなっていそうだ。自分の能天気さにほとほと疲れてしまう。
昨日は知人の家に招待されて個人宅にお邪魔していたのだけれど、なんだか本当に疲れる訪問だった。お土産をあげてとっとと帰ればよかったのだけれど、ちんたらと逃げるタイミングを逸してしまい、マズい鍋をつつき、飲みたくもない酒を飲んでいた。何をやっているんだオレは。忙しいはずなのに。
11時をまわったあたりでこの辺でお厭間しますと言ったら泊まっていけばいいなどと言われてしまった。それだけはなんてしてでも避けたいのでやんわりと、しかしきっぱりとお断りして逃げた。人付き合いは本当に苦手である。なにが好かれるか、なにが人の癇に障るか、この年になってもまったくわからない。
すこしフットワークが悪いなと感じる。止まっちゃダメだと思いながらも、足はもつれ始めている。ああ今日もこのままだらだらと過ぎてゆくのか、と思いながら僕は惰眠を貪った。きっと昨日の酒のせいだ。
東京の中に住むというのはとてもとても便利なのだが、運動が足りず体がうずうずしている。顔つきもなんだかちょっと肉がついてきた感じがする。中年に足を半分突っ込んでいるのが自分でわかる。
いやだ。
自転車に乗りたい。あるいは自分の足で走りたい。皇居でも走ってみるか。せっかく都内に来たんだし。でもめんどくさいな。
今、浦安の街にとりあえずの住居を借りるかどうか考えている。次にまた海外逃亡するまでの間、根城として機能してくれる場所が欲しい。しかしまたすぐに家を出てしまうと考えるとなんだかめんどくさいのである。また家財道具をしまって各種のめんどくさい手続きをして家を出ることを考える。税金のことを考える。年金のことを考える。保険のことを考える。自分のキャリアアップのことを考える。自分の目標のことを考える。
気が遠くなりそうだ。
大人になるってこういうことなのかな。
自転車に乗って、いろんな物を見て、きれいだなと思って写真を撮りながら、いつかまあこんな最悪な人生もちょっとずつよくなっていくだろうと考えていた頃が懐かしい。物事は多少どころか悪くなっていく一方だし、その上果てしなく面倒きわまりない物になりつつある。
ああ面倒だ。
多少残酷でもシンプルな世界に生きたい。油断してたらガブッと殺られてしまうような世界で。そしてへらへらと笑いながら僕は蛇に飲み込まれてゆくのだ。ああ僕はこうやってヘビの一部になってゆくのだ。そしてかけ算とわり算と引き算と足し算を繰り返して土に戻ってゆくのだ。そんなことを考えながらオカマがタイツをはいたような足をピクピクと痙攣させながら、「次生まれてくる時はヘビになろう」だなんて安直なことを考えるのだ。
それってまんま今のオレのような気もするな。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-09 00:06
| 日常