2010年 03月 14日
猫の脳みそ |
今日はたくさん嘘をついたと思う。世の中で生きてゆこうとするのなら、それはいいことだ。
特にこの国では。
本音と建前があまりに乖離しすぎているのが日本という国の悪いところだと思う。その場しのぎをするために、耳辺りのいい適当なことばかり言うので後が大変になる。
これってよく考えたらおかしな話で、みんな嘘だとわかっているのにその場では見てみぬフリをするのである。みんなわかっているのにだまされるのである。首相のことを悪く言う前に、自らの今までの言動と行いを省みるべきである。自分たちだって適当なことばかり言っている。適当なことが求められるからだ。そしてだれも発言に責任なんか持たない。なにがそしりを受けて、なにが見て見ぬ振りをされるか。どの国でもそう言うことをよくわかっている人間が美味い汁を吸える。僕はその味をまだ知らない。
苦虫をかみつぶしたような顔で僕はマックの合板で出来た狭いカウンターに座っていた。店内は混んでいて、あまりの狭さに他人の間合いに明らかに入らなければ椅子に座れない。
隣の男がいぶかしげにこちらを見るのを完全に無視して僕はクォーターパウンダーを食い始めた。
ほとんどすべての座席にコンセントが準備してあり、すべての席でネットが出来る。新宿くらいまで来ると全席PC対応になっているのだ。さすがに日本である。そしてそんな席に座る客はとても気持ちが悪い。僕と隣の男はしばらく水面下の緊張状態を保ちながら、それぞれの仕事にいそしんでいたのだけれど、突然一人で画面に向かって話し始めたふたつ隣の席の男に警戒の対象を移した。
こういう時人間もなんとなく猫のように振る舞ってしまう。なにかそれよりもすごい関心ごとが起こるとそれまでのことって忘れてしまうのだ。
「なにやってたんだっけ?」
こうやっていろいろなものが次の関心ごとにすり替わってゆくのだ。「なにやってたんだっけ?」と。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-14 21:47
| 日常