2010年 03月 18日
Refuse |
今週は世の中的には卒業式ウィークだったらしく、あっちこっちで羽織袴の女子学生やスーツに茶髪の若い男たちを見かけた。
そうか、もうそんな季節か。
自分の卒業式のことを少し思い出していた。
人間が作り出した施設のうちゴルフ場や、結婚相談所と並んでもっとも不健全な場所は男子校であろう。僕が通っていた高校は男子校で、卒業式はなんの感動も無かった。
みんな早く出所したがっていたのである。
僕はその頃だらしなく伸ばしたフケまじりの長髪を後ろで結わえ、ポケットに手を突っ込んだまま高校を卒業した。いわゆる「イタい」感じの高校生だった。特に一生懸命勉強するでもなく、案の定大学に落ちた僕は、あくまでも第一志望の大学に行きたいのだという大義名分のもと、ま、とりあえず浪人するかなどと考えていた。
思い起こすと背筋が寒くなる。
人間が行動するのにはきっかけがある。
たいていの場合は異性だ。
自分の過去を振り返ってみて、それなりにターニングポイントと言えるところを思い起こしてみると、そこには誰かしら女の人の姿があった。ひとつひとつはそんなに色気のあるエピソードではないけれど、でも彼女たちがきっかけとなったことは多く、本人が気づかないところで僕は行動を起こしていた。
腰の重い自分にとってきっかけとなってくれるものというのはとても重要で、今振り返るととても懐かしく思える。おそらく多くの人たちが自分の人生を顧みるであろう春だけど、僕はようやく少し落ち着いた気持ちで自分のおろかな過去を眺めることが出来るようになったと思う。いいことだ。
今日はある所に一本、断わりの電話を入れた。
イヤだったからだ。
イヤなら断る。
そういう風に生きよう。そして先手必勝と思い電話した。相手は商売柄、口八丁で、調子良く、嘘の多い人間だった。嘘をつくにはそれが嘘なのかどうなのか、微妙なラインで嘘をつくことだろう。それが自分にとって得か損かということよりも、僕はそもそももうそいつと関わりたくなかった。
だから断わった。
そしてとてもすっきりした。
ずっとトイレを我慢していて、全部きれいさっぱりひりだしてしまった後のような爽快感だった。断わってよかったと思った。
そして僕は生協に行き、少し買い物をして帰った。大人になったら思う存分自分の使いたいようにお金を使えるもんだと思っていたけれど、僕は相変わらず値札をじっくりと眺めてよけいなものを買わないように勤めている。
風はなかなか暖かくならない。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-18 19:38
| 日常