2010年 03月 23日
黄昏の自転車屋 |
風が吹き終わって気まぐれな春の天気は満足したのか、今日も3月らしい気候だった。日差しが暖かいけれどひんやりしている。こういう時に桜がどんな気持ちでいるのか、ちょっと知りたいような気がする。この間の暖かさのおかげでもういくつかフライングした桜もあるようだ。そう言う所が桜のかわいらしい所だと思う。
昨日、自転車を置いてきてしまったので取りに帰った。帰り道、いつもの自転車屋に寄っていろいろと店員さんの話を聴いてみたりしながら帰途についた。最近また生活サイクルが狂ってきてしまってなんとなく運動不足である。自転車がないとたぶんもっと調子が狂っていただろう。自転車様々だ。
アルミがいいかそれともクロモリか、新しい自転車を買うならどっちがよいか店員さんの意見を聞いていた。ベルリンの自転車屋、Cicili Berlinettaでかっこいいクロモリフレームの自転車を見て以来、次に買うのならあのベルリネッタだなと思っていた。でもこっちで乗るやつは別に買ってもいいかもしれないと思ったのだ。そんなによいものでなくてもいい。でもそれなりに活躍してくれる一台が欲しい。ぼんやりとだけどそう考えていた。
自転車乗りの人ならご存知かもしれないが、アルミフレームというのは軽くてとても速く、スピードが出せるのだけど、振動がダイレクトで長時間乗っているととても疲れる。カーボンフレームはそれよりも速く、なおかつ振動を吸収してくれるので長時間乗っても疲れないが価格が高い。そして最後に昔ながらのクロモリ(クロームモリブデン鋼)製のフレームなのだけど、コイツはある程度重量はあるもののフレームに粘りがあって長時間乗っていても疲れない。アルミに比べるとさすがに重いしストップアンドゴーもそれほどキビキビしてないかもしれないけど、すべての点においてバランスのよいフレームと言えばやはりクロモリをおいて他にない。
僕はそれほど熱心な自転車乗りではないので、貧乏は貧乏らしく鉄の重いフレームの自転車を改造しながら長いこと乗っている。それが店員さん的にはとても気に入ってくれたらしく、以前に大規模な改造をして以来、僕の顔を憶えてくれているのである。
ありがたいことだ。
彼としては、ファッションで自転車に乗るやつというのが嫌いらしく、昨今のピストブームをやや冷ややかな目で見ているそうだ。たしかにおしゃれなカッコをして瀟洒な街をサッと走っている自転車乗りを見かけるにつけ僕も苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
別に好きで乗るもんなんだしどんなカッコをしてどんな価値観を持っててもかまわないのだが、ふだんの足として乗っている方としてはちょっと複雑である。高い自転車はいくらでもあるが、そう言うのはふだんの足にはならないのだ。
久しぶりに元メッセンジャーの彼の講釈を聴いて、いろんなことに納得して帰ってきた。
さてどうしよっかな。
帰ってから届いたカードの明細を見ていると、とてもじゃないけど新車を買う気には到底なれないのであった。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-23 22:56
| 日常