2010年 03月 31日
煙 |
洗濯物を干してきたので帰らないわけにはいかなかった。午前中は天気がよかったのに。
底冷えのするアパートメントと、底冷えのする季節。鼻をずるずるといわせたり、腹の具合がおかしくなったり、ここ一週間はさんざんな体調だった。回復の遅くなってしまった自分の体がイヤだ。こんな寒い天気の中でも早くも花見をしている人はたくさんいて、みんな半ばやけくそ気味に凍えながら酒を飲んではしゃいでいた。飲まなきゃやってられないんだろう。あんまり無理するとオレみたいに腹壊して風邪ひくよ。
上野の不忍池のほとりでは骨董市が開かれていた。
ベルリンにいた時も近くにマウアーパークがあったので、ほとんど毎週末行っていたものだけれど、やっぱりフリマは面白い。ただここで出店してるのはあくまでも業者さんらしく、がらくたではあるけれど、どこかやはり微妙な一線でゴミとはなっていないのだった。
ベルリンの時と同じように、古いリールを見つけて危うくまた買ってしまう所だった。危ない危ない。
なかでも一番心惹かれたのはやっぱり古いギターで、ものすごく久しぶりにテスコのエレキベースというものを発見した。こういうジャパンビンテージにもなかなかめぐり逢えなくなってきている。値段がいくらだったか忘れてしまったけれど、きちんとそれなりの値段で売られていた。骨董屋の価格設定は正しい。
他にもふるいフルアコやピックギターなんかもあって、その中に古いピックアップをつけているものまであったりして、見ているだけで幸せな気持ちになった。カラーチェというイタリアの古いピックギターを弾かせてもらった。年相応に枯れていていい音だ。さすがに弾きづらい感じはするが存在感が違う。古いギターはいい。
不意にベルリンのギターバカ、Sのことを思い出した。メールアドレス教えてくれだなんていっておきながら彼からメールが来る気配はみじんもない。そういう縁の切り方するやつっているよな。僕はそう言う人がいると強引に関係を再開させようとしてメールを送ったりすることがたまにある。こういう性格だから煙たがられるんだろうが、相手からしたら面倒だろうなあ。
でも会わなくなってしまうよりかはマシだ。
相手のアドレスは知らないけれど、たぶんいつも行っていたギター屋か、MySpaceづたいで彼の友人にメールすれば捕まらないこともないだろう。驚かせてやろう。そして煙たがられよう。
しばらくならなかった携帯をがつがつ使って、僕は小さな約束をひとつ取り付けた。生活とは関係のないことだけど、そういう何かの積み重ねが大事だ。積み重ねよう。なんでもいいから。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-31 21:48
| 日常