2010年 04月 02日
春、はじめました。 |
腹が減った。
腹が減った状態でこれを書いている。
腹が減った。
こっちに帰ってきてひと月経ってしまったけれど、なぜかあいかわらず腹が減る毎日である。自分が今貧乏だと思うと、よけいに腹が減る。だからなるべく意識しないようにするのだがそれでも腹が減る。そして飯を食うと金が減る。笑っちゃうくらい今、貧乏である。
ある程度は覚悟していたことだったけれど、お金がないとこうも行動できなくなるもんかと思った。せっかく時間があるのだからふだん会わない人と飲みに行こうとか考えるのだけれど、そんな金がない。悲しい。お金がないと心が荒んでゆく。腹が減るとなおさらだ。幸いまだ食うに困るほどではないが、それでもちょっと荒みかけている。
桜が昨日、満開宣言ということで気象庁が発表した。そんなもんを発表する必要があるのかいつも不思議なのだが、とりあえず昨日で満開になったということらしい。自分でもきのうは上野に行ってみて確かに咲いているのを確認した。8〜9分咲きといったところだろう。そしたら夕方過ぎに強風が吹き荒れてしまうのだから、本当に春の天気は罪なものである。
そんな中、昨夜はしばらく会ってなかった人と二人で飲みに行った。たまに一緒に飲みに行くのだけれど、お互い妙な気遣いもなく飲める相手なので気が楽だった。有楽町の地下にある居酒屋でビールを飲む。
彼女はついこの間仕事を辞めたそうで、なんでもこれからワーホリでオーストラリアに半年ほど行くのだという話をしてくれた。そんな話初耳だな、言ったよ、聞いてない、言ったよメールかなんかで、もらってない、みたいな話をしていた。
じっさい聞いてなかった。
そうなのか。なんかどっかで聞いたような話だ。
彼女的には、もうそろそろ仕事のことも限界を感じていたそうで、ここいらでちょっと息抜きとリフレッシュをかねて飛び出そうと思ったらしい。みんな考えることは一緒だな。30手前ってどうもそうらしい。でもいいことだと思った。
ワーホリなら1年はいられると思うのだが、彼女の現在の計画ではあくまでも半年らしい。それぐらいがいられる限度だろうと考えているらしい。もっといればいいのに、と言ったのだけれどあくまでも半年なのだそうだ。
居酒屋はそれほど混んでいなかった。外のガード下辺りでは多くのサラリーマン達が春の陽気に誘われて大勢歓迎会らしい飲み会をやっていたのだけれど、この店はまったくのいつも通り、顔見知りの人間達がゆっくりと腰を据えて飲んでいた。こういう飲み屋があるといい。二人から5人くらいの少人数で飲むのがちょうどいいような店だ。
まあでもPCと電子辞書は持ってった方がいいね、と僕は言った。
実際、僕がベルリンにいた時一番欲しいなと思っていたのはドイツ語の電子辞書だった。あれがあるとないとではずいぶん違う。持っていたらよかったなあと思った瞬間がたくさんあった。あとはPCだけれど、iphoneみたいな小型端末があると便利だよと教えてあげた。特にiphoneなんかはGPSが使えるので海外で迷子になった時とかはそうとう便利だ。僕は旅行中、あたらしい街に着くとまず地図を手に入れる所からはじめていたので、いちいち買わなくてもいいというのはいい。
何はともあれPCでなんでも済んでしまう世の中なので、PCツールだけは持って行ったほうがいいとアドバイスしておいた。半年行っていて、帰ってきてから資格試験を受ける予定だというので参考書だとかは持って行った方がいいよとも言った。僕は荷物が重くなるのがイヤだったので何も持たずに来てしまったのだけれど、これもドイツ語の参考書があればよかったのにと思った。
時間があるのになにも勉強する道具がないというのは、なかなかつらいものがある。だから僕は観光に時間をかけざるを得なかった。しかし、観光なんてそもそも飽きる。目新しいものが見たくなくなってしまうのだ。不思議なもんで。だからドイツ語の勉強と言えば、ラジオを聞きまくることと辞書を片手に新聞を読むことくらいだった。知らない言葉でこれはけっこうハードだった。今思うとそれでももうちょっときちんとドイツ語の勉強したらよかったなあと思うが、まあ今更だ。次はいろいろ持って行こうと思う。
まあどれだけ準備しても準備しきれないところはあるからね。
と、僕はどこかで聞いたような台詞を口にした。
出発まではあと一ヶ月くらいらしい。
またなんかあったらメールするよ。そう言ってその晩は別れた。
みんなに春は来る。
soundscape
by itr-y
| 2010-04-02 21:14
| 日常