2010年 07月 22日
生え際の問題 |
ようやく大使館にビザの申請をして、なんとかビザが下りそうだ。
あれこれと書類を準備するのが面倒だった。
炎天下、家財道具を入れてあるコンテナからずるずると重いプリンタを取り出し、えっさほいさと部屋まで運び、A4の用紙をセットしてさて印刷しようとしたら、以前にやったジョブタスクがまだ残っていてそいつを印刷しだしたりした。ふだん何気なく使っているけれど、このタスクのメモリというのはけっこう厄介だなと思った。自分がスパイだったらこのあたりから足がつきそうである。
でも自分の場合、おいしいラーメン屋だとか、そんな足跡しかついていないのが悲しかったが。
印刷していたら途中でインクがなくなり、閉店間際の電気屋に走ったりもした。
プリンタまわりはいろいろと手間がかかる。彼がいつか独り立ちして、使ってない時に自分でインクを買いに走ったり、持ち主に都合の悪い記憶をさっさと忘れてくれたり見ないフリしてくれたりすると非常に助かるのだが。
ドイツ大使館の領事部の人はとてもざっくばらんな日本人のおばさんだった。
この辺りもなんだかドイツらしいおおらかな感じがする。
申請する前に領事部に電話をかけた時の面白いエピソードがある。
なんどかかけてみてようやくつながった領事部の係の人に、申請時の注意点などを訊いてみたのだが、写真の取り方でNGになってしまうことがたまにあるらしい。
「どう写っていればいいんでしょう?」と訊くと、
「そうですね、生え際から下になりますね」
と返ってきた。
生え際から下!?
僕の頭の中に「?」マークがポポポポポ...と吹き出してゆく。
「....は、生え際から下ですか?」
「そうです、生え際から下です」
「....そうですか、それじゃあなんというかその、...本当に顔面だけという感じですね」
「そうですね」
僕の頭の中には小さな小窓から顔だけ出している犬の映像が浮かんでいた。
「じゃあ、そうとう近づかないとだめですね」
「....?...そうですね、まあでもちょっと近づいて撮ってくれれば大丈夫ですよ?」
ちょっと近づくくらいじゃダメなんじゃないのかな。内心そう思いながらも、いまだによくわからないので引き続き話をよくよく聞いてみると、どうも頭のてっぺん(頭頂部)からということらしい。
それを窓口の人は『生え際』と言っているらしいということがわかってほっとした。
まあ、まさか生え際から下だけドーンとどアップで写っているビザの写真なんて、どれだけ自己主張が強いんだよという話である。入国したいという強い意志はビンビン伝わってくるかもしれない。ひとまずまあ生え際問題に関しては解決したものの、いまだにどういう風に撮れていればOKなのかがいまいちピンと来ない。
近くに写真館があるので、そこで撮り直す人もいますよ、と言っていたので、「じゃあそこの写真館の人の方がよくご存知ですよね。そこで撮った方が...」と言いかけると、
「いやいやいや、もったいないです!!証明写真ボックスのやつで十分です」
とキッパリ言い放った。
やっぱりドイツ大使館だなと思った。
soundscape
by itr-y
| 2010-07-22 10:18
| 日常