2010年 07月 31日
夏の裏側で |
忙しい日々だった。
まだ終わったわけではないし、じつはまだ荷造りさえもすんでいないのだけれど、それでも家財道具の整理がつきそうなことと、税金だとか年金だとかの手続きのこと。ビザの申請と取得、などなど、いろんなことを立て続けにやっつけて少し息が切れた。
この程度で息が切れてたらいけないんだろうが、僕の意識はだんだんもうろうとしてきて、すべてのことがめんどくさくなり、昼間っから睡魔に襲われてばかりいた。本当に行きたいと思っているんだろうか。
自分てこんなにやる気ないんだなあと、フリーの身になるとすごくすごく痛感する。
そんななか7月の31日に古くからの友人の結婚式があり、それに出席してきた。この日ばかりは自分のドイツ行きのことを忘れて、一日丸ごと彼のお祝いのために使った。自分のことばかり考えていると疲れる。たまにはそういう日がないといけない。そう思った。
この日は行きの新幹線で僕が貧血を起こしたのをはじめ、いろんなハプニングがあったのだけれど、結果としてとてもいい式になったと思う。二人のごくごく親しい友人知人と親族だけのとてもシンプルな式だった。職場の上司なんてのがいないのである。非常にフラットな集まりだった。
二人の性格をよく反映した式になっていたと思う。式場決めも新居の場所もふたりはさっさと決めてしまった。この日の式場も最初に見に行ったところでずばっと決めてしまったのだそうだ。このあたりも二人らしいなと思う。
放浪写真家Kをはじめ、まともな勤め人がほとんどいない僕らのテーブルは、新婦側の女性陣に見向きもされず、非常に淡々としたものだった。もう一人の職業カメラマンYくんは、披露宴の間中なんやかんやと写真を取ることに追われ、自分の重たいデジタル一眼レフと方々から手渡されるコンパクトデジカメと両手に抱えてフラフラしていた。あれで前日ほとんど寝ていないというのだから恐れ入る。僕ならまず二度目の貧血を起こす。まさに八面六臂であった。
披露宴の時にはもうある程度回復していたので、僕は思う存分ごちそうを堪能した。きちんとしたコース料理をいただけるなんて、まあ当分ないだろうから。
僕らは早めに厭間を告げる礼儀も失して、いつまでも新郎新婦といっしょに話をしていた。居酒屋に席をうつし、終電まで飲んだ。そのためにみんなここまで来たのだ。昔の話をし、二人から今日の式の裏話だとかエピソードを聞いて笑った。二人ともようやく肩の荷が下りたという顔をしていた。今日はみんなみんな疲れたんだろう。
ゆっくりゆっくりと、湧き水がしみ出すように思い出せればいい。
思い出せること。
人間にとってこれほど幸せなことはないだろうから。
soundscape
by itr-y
| 2010-07-31 00:43
| 日常