2010年 08月 12日
展望 |
今週はいろいろと進展があった、ような気がする。
一人でやってるから、なにかしら進展がなきゃ困るのだ。
先日はドゥスマンでレクラム文庫を見つけて試しに買ってみた。レクラムは日本で言う岩波文庫にあたる文庫本で日本のいわゆる文庫サイズと同じでノーカバーのとてもシンプルな文庫本である。
話にはきいていたけれど、じっさいに手に取ってみるのは初めてだった。さらさらした装丁が手のひらに心地よい。安かったのでなにか買おうと思い、レイモンド・カーヴァーの短編とDiscussing in Englishという、英熟語とそのドイツ語訳が載っているものを購入した。見開き左ページに英語、左側にドイツ語という配置になっている。これがなかなか面白かった。
まだ話すのはできないけれど、それぞれの訳を対比してみると似ている所とまったく異なるところがあって興味深い。ドイツ語は英語とおなじ語族に属するものだが、僕らが考えている以上に類似点があるようだ。ただ逆にまったくちがうものの方が憶えやすいということもあるけれど。
カーヴァーの小説はもちろん村上春樹の翻訳を読んだのが最初だったわけだが、初めて読んだ時これほどつまらない小説はないなと思った。本当に退屈なのだ。でも少し原文で読んでみると意外なことにこれがけっこう読めた。最初は読むことすらできないんじゃないかと心配していたのだけれど、なるべく簡単な言葉や言い回しでつくられた文体は、すっと頭の中に入ってきて明確に情景が浮かんできた。不思議なものである。村上さんがこれを訳そうと思ったのも少しわかるような気がした。
仕事探しを優先しているけれど、それと同時にもうすこし中長期的な展望も組み立て始めなくてはならない。本当いうと今回の滞在はあまり本気で長く滞在するつもりはない。自分は学生でもないし、仕事でここに来ているわけでもない。具体的な目標に欠ける中で海外に長くいるというのは実はそうとう危険なのである。明確な目的意識もなく長くいてしまった在外廃人みたいな人間が世の中にはたくさんいる。
いろいろ目的はある。でもそれはここでなくてもいい。好きな街ではあるけれど。すべてはこれからの活動の結果しだいだ。ただ今回はここでなくてはいけない目的も持ってここに来た。ある意味とても危ない橋を渡っている。
朝起きると少し喉が痛かった。飲み過ぎたせいもあるのかもしれないが、ドイツの気候はとても乾いている。椅子にかけておいた濡れタオルが朝にはすっかり乾いていた。どうやったらこんなに空気が適度に乾くのかわからないが、日本の気候とくらべるととにかく本当に過ごしやすい。
買い物に行かなくちゃ。
soundscape
by itr-y
| 2010-08-12 19:22
| ベルリン