2010年 09月 15日
ニート達の戦争 |
家探しは続く。
ウェブサイトで入居者募集の物件を見つけてメールをしても、こっちの人は返さないことがほとんどなので、電話番号がある場合には直電することにした。
どんな人でもある程度は英語が理解できるというのはとても大きいメリットで、おかげでいくつか見学のアポを取り付けることができた。急がないと、住む所がなくなってしまうのでこっちも必死である。でも最後の人は英語ができないみたいでけっこう焦った。こっちももう3ヶ月以上いるんだから簡単な台詞ぐらいはドイツ語でしゃべれなきゃいけないんだよなあと少し反省した。
部屋探しといってもだいたいPCに向かってぶつくさ言っているのがいつものことになってしまっていて,なるべく部屋を出ようとPCを持ってどっかのカフェに出かけることが多くなった。部屋にいるときりがないのである。
夜はなるべく部屋探しのことは忘れて軽い運動をしたあと、飯を食い、一人でYouTubeなんかを見ていたりする。わりとアニヲタなのでこっちでも日本のアニメを見ていたりするのだけれど、一度見た作品でも英語吹き替えだとかドイツ語字幕だとかのものが海外向けにアップされていたりしてそう言うのを見るのがけっこう面白い。日本語の台詞と対比して言葉の勉強にもなるから便利だ。このあいだははなまる幼稚園のドイツ語字幕版があってこれはけっこう役に立った。日本語の台詞も難しくないし、字幕と比べやすい。こういう使い方もYouTubeにはあったりするのである。
その他ではカウボーイビバップの映画、「天国への扉」の英語吹き替え版を見た。普通の映画とは違ってアニメでは声優さんがきちんと発音してくれるのでこれがわりと聞き取りやすいのだ。だから言い回しとかを覚えるのにはちょうどいい。
ここの台詞どうやって訳してるんだろう?と思った所を聞いてみると、思わずなるほどなあと思う訳が当てられていたりする。さすがにプロの仕事なのだ。
ところで、昨日はそうした字幕版とかではなく、完全に日本語版の映画を丸まる一本見た。「東のエデン」の映画版、完結編である。
これは完全におそらく関係者による流出モノといった感じで,画質もやたら高画質でとても見やすかった。「東のエデン」の場合ひょっとしたらプロモーションのためにわざと流してるんじゃないかなと思うこともあるのだけれど、これはDVDが出てもけっこう欲しいなあと思った良作だと思う。
キャラクター原案は「ハチクロ(ハチミツとクローバー)」の羽海野チカ、そして原作は攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEXの神山健治、製作はProductionIG。完全な分業体勢のおかげもあってかとてもバランス感のあるおもしろい作品だった。こういうアニメがコンスタントに出てくる国に生まれて幸せだなあと思う。こうしたプロフェッショナルに報いるためにも、DVDが出たら購入しようと思うのである。とにかく買わないとアニメは育たないのである。
YouTubeはとかくその弊害ばかりが取りざたされる傾向にあるけれど、いちいちツタヤでレンタルするよりももっと手軽に、しかも無料でいい作品に触れることができるので個人的にはとてもいいと思っている。たとえ全編そこでダウンロードできたとしても、本当に欲しい人ならきちんとした画質と音質で見たいに決まっているし、そこで初めてその作品のことを知って消費者になってくれる人もいるのである。そこでダウンロードして満足している人間は根本的にカスタマーにしなくていいと思うのである。
中身を見せずにパッケージだけで売ろうとする今までの風潮がなくなって、きちんと意味のあるものを作ろうとするきっかけになると個人的には思っている。そしてアニメのみならずいろんなものへの敷居が低くなると思うのだ。それがいいことなのかはどうかわからないが、もっと気軽に作品に触れることができると思えばそれは十分に意味のあることだと思う。
ところで東のエデンは、とある記憶喪失の少年が全裸でホワイトハウスの前で主人公の少女と出会う所からはじまる。
この時点でもうすでそうとうおかしな話なのだけれど、始まりが始まりだけに見ている方も「なんでなんで?」とぐいぐい話に引き込まれてゆく。テレビ版の最後のストーリーは個人的にとても好きなエンディングで、なかなかドラマチックだった。あそこで終わりにしても良かったかなと思うのは、完結編のストーリーのラストにもうちょっと山場が欲しかったかな、と思ってしまったからなのだけど、まああんまりやるとやりすぎになっちゃうだろうし話も収束しにくくなるし...とストーリーライターの視点でも見てしまったりするのである。
でもそんなことを抜きにしても十分いい作品だったと思う。主人公の滝沢少年のあっけらかんとしたキャラクターもすごく好感が持てた。そして、ちょうど僕らの世代、ニートと呼ばれる人間達が生まれた世代のことをテーマにしているのも良かった。そして最終的に物事はなにも大きく変わらない、という顛末も好感が持てた。
でもまあなんとかやって行こうぜ。
そんな気分にさせてくれた作品だったと思う。
soundscape
by itr-y
| 2010-09-15 09:08
| ベルリン