2010年 11月 12日
ぬれねずみの巣 |
靴の中がぐっしょりと濡れてしまうまでずぶぬれになって帰宅した。
深夜、冷たい雨の中自転車で水浸しになって帰るとなぜか自問自答モードになってしまう。ぶつぶつと昔のことを思い出しては悪態をついたり、そうかと思えば急に思い出し笑いをしてそれに突っ込んだりと、完全に危ない人となって水しぶきをまき散らしながら帰って行った。
こんな状態になるとあとが大変である。
まず家に入って服を全部脱ぎ、濡れたものを洗濯機にそのまま放り込む。それからシャワーを浴びて一息つくと、髪を乾かしたあとでビールの栓を開ける。ぐびりと一口飲んでから自転車を拭きにかかる。雑巾で水を拭い、ハブラシでクランクまわりやリヤディレイラーの泥を払い、水気を切ってゆく。注油は後回しだ。
それからずっとやろうやろうと思っていたメッセンジャーバッグの洗濯もしてしまうことにした、
もう2年ぐらい前に買ったティンブクトゥのバッグはあっちこっちが薄汚れてきてしまい、汚いことこの上なかったので、いつか掃除しようと思っていたのだ。
バッグの中のものを全部引っ張り出し、外せるものを全部外してシャワールームに放り込み、中性洗剤をぶっかけて熱いお湯をザアアとかけてゆく。いったんそうして丸洗いしてから今度は新たに洗剤を投入してしばらくつけ置きしておく。30分ほどしてから洗剤を洗い流して、シャワールームに吊るしておき、洗濯が終わってから洗濯機に突っ込んで脱水にかける。
そして窓際のハイツング(ヒーター)を全開にしておいて、バッグをそこに寝かせた。
靴も同様に紐をほどき、泥を落とし、シャワールームでザアザアと洗ってしまう。
部屋中のハイツングの上にいろんなものが並ぶことになり、その晩は部屋の中は新木場の熱帯植物園のような暖かさとなった。それでも窓が曇ってしまわないのは雨が降っててもそれほど湿度の上がらないドイツの気候と、漆喰の壁のおかげだろう。起きたらすべていい具合にきれいに乾いていた。
ベルリンはここのところぐずぐずとした天気が続いている。ただでさえ昼夜の区別がつきにくいのに、こんな感じの天気が続くと本当に辟易してしまう。冬に入るとこういうサイクルを2週間から1週間くらいで繰り返すようになる。しばらく鬱屈として、しばらく陽気になる。日頃から鬱屈としている僕にはどうでもいいことだが、さすがにずぶぬれはこたえた。
主に精神的に。
翌日もまたなんとなく降りそうだったので、用心してトラムで行ってみたら案の定降りはじめた。
よかった。
ただ帰りのトラムの車内はぎゅうぎゅう詰めだった。終日運転とはいえ、雨の日だと夜はこういうことが起こる。
どっちもどっちだなあ。
満員電車になんだか妙な懐かしさを感じつつも、僕は目の前のパンク兄ちゃんのツンツン髪に頬を突き刺されないように斜め上に顔を背けた。
soundscape
by itr-y
| 2010-11-12 22:49
| ベルリン