2011年 04月 28日
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上の写真は一週間ぐらい前の写真で、今は暑さも一段落して少し冷え込んだ。
というのも昨日、夕方頃に雷が来たからなのだけど、そのおかげで街はキュンと冷え込み、いい具合に冷たい雨上がりの空気が街を覆った。ウンターデンリンデンの大通りを走ると、森の冷えた空気と湿り気が肺の中を満たしてくれた。
こちらはもう夏である。
早く夏の準備をしないといけないし、それよりもなによりも身の振り方を考えなければいけない。先日、職場の先輩の家に飲みにいって相談しようと思っていたのだけれど、アドバイスをしてもらいたいのに逆に「どうするんだよ」と訊かれてしまい返答に困った。どうすればいいのかを訊きに行ったはずだったんだが。
まあでもどーにかなるんじゃねーの、とまだ悠長なことも考えている。まじめな話、こちらでいくら根を生やした所で大して金にはならない。本職でミュージシャンをやっている人だってそんなにいないし、それだけではやっていけてない人がほとんどだ。だから安定したうんぬん以前に、最低限必要な資金を稼ぐためには日本で外貨を稼いでもってくることが前提であり、本当はそう言う状況じゃなきゃワーホリでなんて渡航しちゃいけないんである。
僕はもう渡ってしまったのでやむを得ずバイトをして生活の糧を得てはいたけれど、お金の面だけで見ればものの見事に時間の無駄だったような気がする。だってバイトを二つ掛け持ちして5ヶ月ほどかけて貯めたお金が10万程度なのである。日本だったら「オレ何やってんだ」と思うレベルである。
だもんで、「うーん、無駄だったなあ」とまるで人事のように鼻クソをほじっているのだが、そろそろ考えざるを得なくなって来ているので、帰国の場合と残留の場合の2パターンに分けて今後の計画を生活面からのみ検討し、なおかつ自分自身のやりたいことと、やらなければいけないことの仕分けをしている。「一番じゃなくてもいいです。完全に負け犬じゃなければいいです」と一人でつぶやく。どんどんハードルを下げている自分がいる。
そんな中、今さらドイツ語の勉強をしている。
こちらにはお互いの母国語を教え合うタンデムパートナーという勉強の仕方があって、語学学校ほどではないけれど、素人同士で言葉を教え合うシステムがある。もちろんプロじゃないから専門的なことは教えられないけれど、これで入門編くらいにはなるのである。実のところ、このタンデムパートナーというシステムはある種の出会い系として捉えている人も多くて、いかにももてなさそうなドイツ人たちが男女問わず相手を募集していたりする。そりゃあまあ教わるんならかわいい女の子がいいのは僕だってそうだけど、募集のサイトに教わりたい国の言葉がたくさん書いてあったりするとけっこう気分が萎えるもんである。見てるだけでげんなりする。
そんな中、僕も実は今タンデムということで教わっている人がいるのだけれど、僕の場合は70を過ぎたおばあさまである。
この方、日本に知り合いがいるらしく、日本にも何度も行っているらしいけれど日本語はしゃべれない。だから簡単な話し言葉だけでもいいから、ということで週に1回、先方のお宅にお邪魔してドイツ語を教わっている。
もちろん相手はおばあちゃんなので理解は遅いし、マイペースきわまりない。だからもっぱら僕が教わっている立場で、自分の書いた文章を添削してもらっている。この文章添削がけっこう勉強になる。ドイツ語は英語とは親戚関係にあるので共通する単語も多いけれど、語順や文法がやや特殊で慣れが必要だ。どうしても日本人なので、英語だろうがドイツ語だろうが文章を作る時は日本語を翻訳するようになってしまう。会話としてならともかくなにか文章を書こうとするとなおさらだ。添削してもらうことで自分の言いたいことがきれいにドイツのネイティブ文章になってゆく。それが非常に面白く、スリリングでもある。
言葉はとても面白い。
今、自分自身はもう一度自分の生き方を問い直さなければいけない。そんな中で外国語を学ぶことで、今までどれだけ自分の考えが言葉に支配されて来たのかがわかった。言葉をつけることですべてのことを理解しようだなどと思っていたのかもしれない。もちろん自分の場合には音楽を聴いたり演奏したり、運動して体を使ったりしてそれ以外の方法で世界を理解しようとしていたけれど、考え方を組み立てる方法としての言葉を、別の規格のものを取り入れることによってその幅が広がって行ってるような気がしている。
一見、何の役に立つのかわからないようなことを、今一生懸命やらなくちゃいけないような気がする。
とりあえず覚えなきゃいけない単語は2800あって、そのうち名詞はドイツ語なので男性名詞、女性名詞、中性名詞がある。それだけでも卒倒しそうになるが、それでもがんばろうと思うのは日本語の堪能なドイツ人の友人たちのおかげもあるのかもしれない。自分も彼らぐらい話せるようになりたい。そう思うのである。
soundscape
by itr-y
| 2011-04-28 09:22
| ベルリン