2011年 08月 07日
五分の魂 |
先週、外人局に行ってきて、無事に滞在許可をもらう事が出来た。これで10月いっぱいまでは滞在する事が出来る。ちょっと一安心である。
本当はその期日までにビザ更新に必要な書類を準備して持っていかなくてはならなかったのだけれど、もちろん準備できるわけもなく、わからない事もたくさんあったのであえて何も準備せず、そのまま行ってきたのであった。担当官のおばさんに「何も準備してないの!?」と呆れられたけれど、エヘへと頭を掻きつつ、準備書類についての質問をしてきた。
フリーランサーのビザに必要な書類は以下のもの、
・パスポート
・健康保険証(ドイツ国内の保険会社で滞在するビザの期間中をカバーするもの)
・証明写真
・履歴書
・資格証明書
・残高証明
・少なくとも2件以上の仕事の依頼
・手数料50ユーロ
と、渡された用紙には書かれていた。
しかし、健康保険ってどこで入ればいいの、とか、履歴書って指定の書式があるの、とか、そもそも資格証明って何、残高はいくらあればOKなの、2件以上の仕事の依頼って何をもって証明するの、とか、それは一日だけの仕事とかでもいいの、とか、いろいろわからない事が多かった。
幸いにも担当官の人はわりと感じのいい人で、なおかつ英語もしゃべれたので僕はわからなかった事をこの際に全部訊いてみた。一番気になったのは、もしビザの申請が却下された場合、ドイツへの再入国にはどのくらいの期間を要するのかという事だったのだけど、4週間空ければまた再入国できるとの事だった。しかもあとで日本人の人の聞いた話では、一度日本に帰れば一日でもまた再入国は出来るそうだ。この場合「母国へ帰る」という事がポイントらしい。
履歴書や資格証明書に指定の書式はない。自由に書いてくれていいとの事だった。資格証明は、自分が今までやってきた活動の証明なので、専門の学校に行っていたらそこの先生のサインとか、どこかでライブや個展をやったらそこの人のサインとか、何かしら「誰かのサイン」がついていればいいのだそうだ。これもいかにもドイツ的。サインさえあれば別に中身は確認しないのである。
仕事の依頼(オファー)に関しても、依頼人、顧客のサインがあればいいそうで、例え一日だけの短い期間でも仕事として認めてもらえるのだそうである。うーむ。最後の残高証明、お金に関してはやはり具体的な金額は決まっておらず、最初はお金がかかるからその準備期間として最初の数ヶ月間をまかなえるだけの残高があればいいのだそうである。これも人によって金額が変わりそうなもんだけど、以前に聞いた人の話では日本円にして100万弱ほど用意していったとのことだった。そこまではいらないのかもしれないが、100万弱ですか...。うーむ。
外人局は基本的に書類に目を通すだけのところで、ビザの取得に関して一番ネックなのは保険会社の審査に通るかどうからしい。お役所と違って保険屋はビジネスでやっているので、お金にならない客は取らない。外人局は保険屋がOKを出したかどうかを見るので、用は自分で判断しているわけではなく、保険会社の判断に委ねているというわけだ。まあ、たしかに。あそこで働いているパートさんたちに何か判断できるとは思えない。一応許可を出すのは立場上お役所だが、実際は人任せなのである。おばさんたち、なぜか外人局はオバさんおねえさんばっかりなのだけれど、彼女たちは書類を整理したりするのが仕事なのである。
とにかく、疑問が解けたことと、秋まではいられることが決まったので、とりあえずは一安心なのであった。
本当はここで安心しちゃいけないのだろうけれど、まあ予算がないのでビザが取得できるとは思っていない。ダラダラと居続けることは出来るかもしれないが、そんなことをしてても意味ないし、それに寒い冬にベルリンに居たくはない。家のことも心配だからいったん家に帰るのがいいだろう。この一年、本当はバイトをやる傍らいろいろとやるべきことはあったのだけれど、はっきり言って最初の家探しでぐったりしてしまっていて、その後はもうグダグダだった。バイトだろうがなんだろうが、仕事しながら何かをするというのは大変なのである。もうなにも難しいこと考えずに、最初からどっかで弾かせてくださいと頼みにいった方が早道だったかもしれない。いつも微妙に回り道をしてしまうのである。
なんだかんだ言って、本当のところは日本に帰りたいのじゃないかとも思う。僕自身、バカにしていたドイツ人たちにすごくよく似た性質なので、つまらないことで意固地になったり、頑固だったりする。ドイツ語を勉強していた理由も、いちいち彼らの無茶苦茶な言い分に毎回カッチンカッチン来てたからだったわけで、どうもつまらないことに関わっているうちに軌道がずれてきたような気がする。ビザの期限はそれを若干修正および見直しを加えてくれるものだと思う。
いろいろやっている間に時間がどんどん過ぎてゆく。
何はともあれ、ビザの準備。そして次の家探し。家具の処分。引っ越しなどなど、やるべきことは目白押しだ。帰る日を決めて、帰ってからの仕事を決めて、それから帰るまでにやるべきこと、やっておきたいことを詰め込んでいかなくてはならない。めんどくさいけれど、その反面楽しいとも思えるようになってきた。いつもぐうたらしているからこういう時は瞬発力を発揮しなきゃなあと思うのだが、いつもぐうたらしている人間にそんな瞬発力があるわけもなく、今日もドタドタと足をもつれさせるのだ。
夜、へたくそな英語のメールが携帯にとどく。
「残念ながらもうすでに入居者はきまってしまいますた」
ぱちんと携帯をたたんで僕はジョッキのビールを飲み干す。
「そりゃ残念」
soundscape
by itr-y
| 2011-08-07 21:57
| ベルリン