2011年 09月 02日
夏休みの宿題 |
本当に何とかなってしまった。
明日はもう部屋を出なくてはいけないと言う段になって、前日の12時にようやく部屋が決まったのだ。本当に二つ返事で決まった。念願のと言ってもいいくらい欲しかった自分の部屋である。もう引っ越しを迫られる心配はなくなった。本当にようやくといった感じである。
てなわけで、一応問題の大部分はこれで解決してしまったも同然なのだけれど、肝心のビザがもう切れてしまうのでどのみち一度帰らなければいけない。とりあえずものは置いたまま帰ることが出来るので一安心である。運ぶのが一番大変なのだ。
今、部屋の中も一通り片付き、机に向かってゆっくりこれを書いている。現在午後6時5分。外はまだ明るいがゆっくりと光がその明度を落としつつある。なんだかほっとしてしまった。心配事がなくなったわけではないが、これでしっかりとした足場が出来た。そんな感じである。
引っ越しにあたっていろんなことがあったのだけれど、正直多すぎて何から書けばいいのかよくわからない。同居人のドイツ人とは退去日をめぐって一悶着あったし、家探しもなかなかスリリングだった。友人たちに手伝ってもらったこともよかったけれど、今回の件からは色々と学ぶことが多かったように思うし、以前よりも大人になれたと思う。
がんばっていればいいことは必ず起こるのである。
しかし、連日遅くまで起きていて睡眠時間が少なくなったせいか、今朝朝起きたらひどく喉が痛かった。どうも手伝ってくれていた友人から風邪がうつってしまったらしい。何となく体がぼんやりとだるく、今日も一日何となく気合いが入らなかった。
バラバラにしていたソファーベッドを組み立て、貰い物の机を据え付け、すでに部屋にあったものを譲り受けた棚を移動する。洗濯物を取り込み、段ボールの中の本や書類やDVDも棚にしまい、ケーブル類、小物類も整理してゆく。半日ほどかけて部屋の中はすっかり片付いた。片付いてみるとあらためて部屋の大きさに感心してしまう。22平方メートルである。日本ではちょっとあり得ない広さだ。
しかし、今こうして机に向かって物書きしていると、うっすらと肌寒い。天井が高いせいなのか、なんだかやたらと冷えるのである。まだ暖房を使うほどの寒さではないけれど、この寒さはけっこう危ない。風邪を引いたのはこのウスラ寒さのせいもあるんじゃなかろうか。
今日は結局それ以外、特に何も出来なかった。その代わり三食きちんと食事を摂り、きちんとした生活を送った。
さあてどうすっかな、と考える。
人生で一番楽しいのは実はこの「さあてどうすっかな」ではないかと思うのだがどうだろう。自分の予定は今のところ滞在許可が11月の1日で終わるということしか決まっていない。やりたいことはある。会いたい人もいる。会わなくてはいけない人もいる。全部出来るかわからないでもいちおうやるだけやっとこう。
ビザの延長はちょっと無理っぽい気がする。ドイツには学生準備ビザというよくわからないビザがあって、それだと2年間はいられることになり税金の免除もある。これが一番取りやすく簡単なので取る人が多いが、それだとただ単に「いる」だけでダラダラしてしまうのが目に見えるので、取るなら税金はかかってもきちんと働くビザにしたいのである。
そのために必要な資金が今はない。だからたぶん帰ることになるだろう。でも何が起こるのかがわからないのがこっちのいいところでもあり悪いところでもあるので、何かの拍子に帰る必要がなくなるかもしれない。でも今のところは帰りたいと思っている。一年だらけていたと思う。本当に。でもいろんなことがあって、いろいろ学んだ。高校時代は男子校だったし、大学にも行ったことがなく、自分には青春がなかったと思っていたけれど、一見味気ないように見えていたベルリンの日々も立派に面白い日々だったのかもしれない。
そんな機会がまだあったことに感謝である。
ヨーロッパに足場を持ったことで、たぶんいろんなところに行くことが可能になるだろう。維持費は多少かかるかもしれないがそのメリットは大きいと思う。後は日本の方の現実的なこと。税金や年金や保険やその他いろいろな事を考えなければいけない。帰ってからの仕事の事もある。仕事はたくさんだ。おととい、僕は問題のドイツ人とふたりで深夜の3時まで掃除に明け暮れていた。明日の12時には部屋を引き渡さなくてはならなかったのである。それはまるで夏休みの宿題をやっているような気分であった。彼はギリギリまで出て行かない僕を責めていたけれど、何の事はない自分が一番段取りが悪かったのである。僕はそれにつき合った。ここで帰るわけにはいかない。僕が日本人で、なおかつもう大人だからである。
出て行く部屋の掃除はなんとかなったが、本当になんとかしなければいけないのはこれから待っている自分の仕事の方である。それこそまるで夏休みの宿題のように溜まっている。自分の弱さを言い訳にしてやってこなかった事にそろそろ目を向けないといけない。少しつめたく懐かしい風が吹いて,僕は新しい街並に東京の街角を重ね合わせた。
でもとりあえずベルリン編は第2章に突入である。
soundscape
by itr-y
| 2011-09-02 22:30
| ベルリン