2011年 10月 09日
待合室 |
おとといの嵐のような雨以降、すっかり寒くなった。
僕はフリースを取り出して羽織り、足には冬用のアルパカの毛で編んだスリッパをはいた。前にここに来たばかりの頃、クリスマスマーケットで買ったものだ。1ユーロ117円とかの頃に40ユーロで買ったので、5000円強の出費になったけれど、こうして寒い季節になるとしみじみといい買い物だったと思うのである。
先週の日曜。以前から続いていた咳がひどくなり、ついに電車に乗っている時にあばらがポキッといった。その瞬間激痛が走ったので、ああこれはあばらをやってしまったなと思った。しかし、実際翌日病院に行ってレントゲンを撮ってもらうと折れてはいなかった。しかし動く度に痛いし、時折コリッ、ポキッと音をたてているのはなんなのか、それがわからなかった。
一応、血液検査もしてみたのだがアレルギーも特になく、咳の原因が分からない。とりあえず痰が黄色いからという理由で抗生物質とあばらの痛みには痛み止めをもらった。しかし原因が分からないというのはなんともすっきりしないものである。後で、知人の知り合いのお医者さんにそこでの診断書を見せたらLungenfell(肺胸膜)という聞き慣れない単語が出て来た。咳の時に使う筋肉と引っ張られる筋が痛んでいるらしい。抗生物質を処方されたのならお酒はその間ダメよ、と言われてしまった。そんなわけでここ一週間はアルコールをいっさい飲んでいない。一週間以上飲まないでいるのなんて、ひょっとしたらこっち来てからはじめてかもしれない。
その日、月曜日は実は祝日で全国的にどのお店もお休みであった。悪いことは続くもので、医者に行く途中、自転車のチェーンが絡まってしまい、それを外そうと躍起になっていたのだけれど、それを外せたと思ったら今度は後ろのディレイラーが歪んでいることに気がついた。そいつを応急処置的に直して走っていたのだが、途中いつものクセでシフトチェンジしてしまい、その瞬間にリヤディレイラーが車輪に巻き込まれボキリと根元から折れてしまった。ディレイラーを折るなんてのは初めての経験だった。ディレイラーって折れるものなのか。
もう完全に走行不能になってしまった自転車をとりあえず家まで押して帰り、それから救急の病院を探し、そこまで電車で向かった。診察の後の待ち時間がいやに長く4時間近くも待っていたら、周りでまっている人が全員帰ってしまい、ようやく何かおかしいと気づいた。それまでに何回もまだかまだかと訊いていたのだけれど、場合によっては何時間も待つこともあると言われたのでおとなしく待っていたのだ。なんでも起こりうるのがドイツだから。
しかし理由は簡単で、ずっと呼ばれなかったのはレントゲン用の待合室で待っていたからであり、診察後の待合室で待っていなかったからだった。何度も何度も訊いてようやくそれがわかったのである。しかも、あたかも間違っていた場所で待っていたこちらが悪いかのような口ぶりなのである。もう僕は怒り心頭だったが、それでも謝ろうとしないドイツ人にあきれ果てた。しかも診断書を見たら僕の名前が間違ってたのでこれでは保険の請求が出来ないと名前の訂正を要求した。すると相手のオバハンはもう窓口が閉まっていて今日は出来ないから明日来いと言い放った。
もうイライラしすぎてどうにかなりそうだった。ドイツ人なんてみんな死ねばいい。
おかげで僕はバイトに遅刻した。2時間強の遅刻である。もはや遅刻とは言わない。料理人はイライラしてるし、彼よりもイライラしてる自分は謝らなければいけないし、もう散々だった。その後、僕は咳をする度にのけぞりつつ仕事をこなした。
今はようやく容態も落ち着き安定して来てはいるけれど、まだ時折咳の発作は出る。なかなか時間がかかりそうだ。今日はまた寒く小雨もパラパラと降っていた。僕は空き瓶とペットボトルをまとめてスーパーに買い物に出かけた。自転車は火曜日には帰ってくる予定である。それにしても自転車の修理に60ユーロ。薬代に30ユーロ。自転車のほうはあらたに不具合が見つかってさらに60ユーロ。トータル150ユーロ近い出費となった。帰る前になって踏んだり蹴ったりである。
しかしそれでも木曜にはうれしいこともあり、まんざら悪いことばかりでもなかった。不運は税金か借金の返済のようなものである。払えるうちに払っておこう。
ドイツ語の試験は20日と決まる。例によってほとんど勉強しておらず、自分のレベルに明らかにあっていない試験問題を眺めつつ、何から始めようか呆然としている。
帰国まであと少し。すこしよろけたけどガンバレガンバレ。
soundscape
by itr-y
| 2011-10-09 23:00
| ベルリン