2012年 01月 30日
独り言 |
のっぴきならない面倒ごとに巻き込まれて、めんどくせえなあとため息をついている。以前に「めんどくせえなあ」と仕事場でうっかり言ってしまったときは、当時の同僚であった彼女にえらく怒られたことがあった。こういうことを口にしては良くないのだということを、僕は勤めて初めて知った。学生ならともかく、大人が言ってはいけない言葉なのである。
でもしかし、その言葉を僕は帰り道、自転車を漕ぎつつしきりに呟いていた。独り言が多くなるのは良くない兆候だ。「ぜったいに独り言とか言わなそうですよね」と以前に言われたことがある手前、そんなキャラでいては許されないのである。でも僕は独り言プラス「めんどくせえなあ」の2大自分的タブーを犯し続けながら一人自転車で走っていた。
短期の仕事はもう間もなく終わりを迎えようとしていて、次の段階に入らなくてはいけないのだけれど、その厄介事は本当に厄介だ。もう考えても仕方あるまい。自分の力ではどうにもならないところもあるので、どんとかまえているしかないだろう。ちょうどワンピースのルフィとゾロみたく。
ま、どっちにしても東北に行かなくてはいけない。祖母の様子を見に行くことと、東北の震災の爪痕を実際に目で確認してきたいと思ったからだ。ベルリンから帰る前から考えていたことだ。早く行かなくちゃ。そんな思いばかりが募っていた。福島にはどのくらい近づけるだろう。一日二日くらいだったら大丈夫だと思うよ、と医学部の友人は言っていた。今、主にメインとなっている汚染物質は地表面などに沈着しているセシウムなのだそうだ。それでもまあもちろん近づかない方がいいのはわかっているが。
そのへんのことの準備を本当だったらしなくちゃいけないのに、件の厄介事のせいで僕の臆病心は日増しに大きくなっている。やれやれ。本当に腰抜け野郎だなあ。
その反面、自転車はそれまでのトラブル続きが嘘のように調子が良く、連日の通勤をがっちりとサポートしてくれている。最近ようやく乗り方が板について来たようで、走りが軽く、冷たい風を切って街中を走ると本当に飛んでいるような気分になれる。自転車保険にも先日加入して、ようやく気兼ねなく走れるようになった。保険がないと危ない。
呟きながらの帰り道、僕は前方に乗ったりとしたスピードでマイペースに走る原付のおっちゃんを見つけると、それをペースメーカーに、永代通りを走った。2月はこれから始まる。まだ冬は続く。
soundscape
by itr-y
| 2012-01-30 23:24
| 日常