2012年 02月 10日
ぱんぱんぱん |
ひさしぶりにお隣さんブロガーであるsaori姉さんに会い、新宿で飲んだ。ひさしぶりの邂逅であったのだけれど、つい先週も飲んでいたような気がするのは気のせいか。イギリスで知り合ったというもうすぐ75才の英国紳士と、saori姉さんの年下の彼氏と、そしてその他の人々(失礼)と飲んだ。英国紳士が英語しかしゃべれないので必然英会話になってしまったのだけれど、ひさしぶりにいい練習になった。おじいさんは僕らにもわかるようになるべくゆっくりとしゃべってくれた。
僕は酔った勢いでその飲み屋の軽い気持ちで18才の女の子を口説いてしまい、あとでひどい自己嫌悪にはまっていた。間違って一夜を供にしなくてよかった。ひどい傷を負うことになったはずである。
その夜おとなしく実家に戻った僕は、ひどい頭痛を覚えて頭痛薬を飲もうとしたのだけれど、気がついたら常備薬が底をついていた。しかたなく一晩、痛む頭をこらえて寝たら翌日午後3時に目を覚ます羽目になった。仕事がないというのはつくづく気楽なものである。でももうすぐしたら忙しくなるはずである。たぶん。
3時に起きた僕は図書館に行き、結局読まなかった本を返し、そして性懲りもなく次の本を借りて来てしまった。ベルリンの写真集があったのだ。つい借りてしまったのだけれど特に面白くもなかった。その後、駅前の薬局に寄ったあと、書店で立ち読みをしていると放浪写真家Kと偶然会った。昨日の晩、ジャクソンポロック観に行こうぜと話をしたばかりだったのだが、こういうタイミングは重なるもんである。「ぱんぱんぱん」と聞き覚えのある手拍子が聞こえたので振り向くと果たして奴であった。「やめてくんない、はずかしいから」と僕は言った。なんだか知らないがこうやって偶然街で友人に会うと「ぱんぱんぱん」と彼はやるクセがあるのである。なんでだかはよく知らないがなんだかしょっちゅうやっているような気がする。
苦笑する彼と本屋を少し物色してからドトールに寄った。彼と会うといつもドトールに行くことになる。「ぱんぱんぱん」からやがてドトールなのである。なぜドトールかと言うともともと彼が喫煙者であった名残からなのだが、今ではもうタバコもやめてしまったので別にドトールである必要はないのである。まあおたがい貧乏人であることには変わりはないので、「ブレンドふたつ」とお決まりの呪文を唱えると、僕らは端っこの席に深々と腰を下ろした。
彼の人生はあいかわらずマイペースだった。たぶん当人としてたくさんの苦労があるのだろうけれど、僕からするとまったくの呑気な人生だった。今でもあいかわらず房総方面に繰り出して、中判カメラであれこれ撮り歩いては自宅で現像をくり返している生活なのだそうだ。僕は僕でクレジット会社と揉めていることや、遠恋中の彼女と別れた話などをした。
「まったくクソ忙しい時に全部まとめて来るもんだからもう本当にまいったよ」と言うと、なんだか嬉しそうな顔をした。嬉しそうな顔をするところではない。当人としては本当に参っているのである。「まあ次のいいのが見つかるよ」と彼はヘラヘラしながら嬉しそうな顔をして言った。基本的に彼はいつだってヘラヘラしているような気がする。
クレジットの会社とは始めっからリボ払い(カード会社が儲かって利用者が損する払い方)になっていたことで揉めていた。どうもそうとう根深い問題らしいということを僕は調べてみて今回初めて知った。アメリカではサブプライムローン問題として社会問題になった。非常に大きな問題なのである。どうもそうまでしないとカード会社というのは利益を得られないようなのだ。その会社の決算書などを見て、僕はようやく合点がいった。確かに業界としては手放したくないはずである。僕はその問題で弁護士に相談したり、あれこれ調べたり、テレオペとやり合ったりして本当に忙しかった。
一番の問題はこれを「よく調べなかったお前が悪い」としてしまう風潮があるということだろう。こんな風にコメントするのはどう考えてもカード会社(と言っても消費者金融なのだけど)の側でしかない。日本人の場合はメンツと体裁をこれ以上ないほどに気にするので、お前が馬鹿だと言えば大抵の人間が退くらしいのである。ひどい話だ。僕は別に自分は馬鹿だなあと自負しているので、別にののしられたりバカにされたりする分にはかまわない。ただ利息手数料分は絶対払わないからね、と最終的にコールセンターの責任者である人にそう宣言した。督促状を送られたらもう裁判だ。戦うしかあるまい。みんなみんなそれを避けようとして来たからこの問題は何も変わらなかったのだ。原発と同じである。みんなが大きな権力にノーと言わなかったからその事故は起こったのだ。別に東電だけの責任でもなんでもない。全員同罪である。どいつもこいつも無責任だと最終的にこういうことになる。
そんなことを大声でドトールでまくしたてていたら、隣で座っていた団塊の世代くらいのおじさんが眉をひそめた。もしかしたら電力会社の人だったかもしれない。失礼。こんな話は大声で外でするべきではなかったかもしれない。少なくともこの狂った国では。
その後、僕らは地元の大型電気店に寄り、僕はエアダスターを買った。手持ちのMacBookが最近埃をすってぜえぜえいっていたから分解清掃しようと思ったのである。じゃあまたねとKと別れ、その晩僕はラップトップを分解し、エアダスターを使って中を清掃した。今、そのMacBookでこれを書いているが、ちょっと埃を飛ばしただけなのにすこぶる調子が良くなった。やはり、何でも循環させることが肝要なのである。
さて、昼下がりまで寝た頭は明け方になってもまだ冴えている。読みさしの本を読むしか手段はもうなさそうである。しばしの休息はあと少し続く。
soundscape
by itr-y
| 2012-02-10 05:44
| 日常