2012年 03月 17日
aqua times |
慣れない仕事が始まってやたら忙しい一週間が終わったと思いきや、今度は地震である。気が休まらない。新しい仕事が始まってなんだか違うなと違和感を感じ、たぶん早々にやめた方が良さそうだなと早くも思い始めてしまっている。その理由はたぶん多くの人が「それはしょうがない」と納得してくれるものだが、ある意味とても貴重な体験なのでしばらくやめるのやめよかななんて悠長にかまえている。いつかこの体験をどこかで書けたらなと思う。そんな風に違った考え方を出来た時にちょっと大人になったなと思う。次の一手を考える。
ベルリンで知り合ったベトナム人寿司職人の友人が日本に遊びに来ていて、しばらく彼と彼の友人に東京を案内していた。とは言っても、僕は東京の人間ではないので必然自分のテリトリーが中心になる。成田に迎えに行くよと言っておきながら、日にちを一日間違えていて迎えに行けなかった借りがあったので、僕は2日間案内できる所を案内した。最初の日は上野から千石のあたりまでを散歩し、浅草に戻って夕飯を食べるコース。2日目は築地の市場を見に行って海鮮丼を食べ、そこから車でレインボーブリッジをと新しく出来た東京ゲートブリッジを通り、自分の地元のホームセンターで買い物し、それから葛西の臨海水族園に行って魚を見るというコースになった。
当初、鎌倉に行きたいというリクエストがあったのだが、いささか遠すぎるし自分の車がなかったので水族館コースにしたのだ。結果的には正解だったと思う。寿司職人の彼はもうすでに築地の市場は見て来たらしかったのだが、ホームセンターでジャパンオリジナルの便利グッズの数々を見て一人興奮していた。買ったものはシリコン製の巻寿司用のまきす。そしてお好み焼き用の3本ラインを引けるマヨネーズボトル。何でもむけるピーラーと、5000番台のペーパー。友人の方は簡単にニンニクの皮を剥ける同じくシリコン製の円筒形の皮むき器と、ジャガイモを簡単にスティック形に切れるカッター。球形の氷が作れる製氷器。いずれも小物ばかりだが、自分の店を開く時にまた買い出しに来ようと思っているらしい。「なんでもっとはやく連れて来てくれなかったんだ」と彼がうれしそうに言っているのを見て僕も何となく嬉しくなった。
それから僕らは水族館に行った。
これも正解だった。クロマグロが回遊する水槽を前に固まる寿司職人。そしてスマホをかまえて写真を撮りまくる。それぞれの水槽の前で写真を撮り続ける二人をみて僕はとても満足だった。そういえば葛西の水族館に来るなんていつぐらいぶりだろう。たしか小学生くらいの頃だったような気もする。ちょっと思い出せないが、今来てみても面白いしゆっくり出来る所である。今度またひとりで来てみようと思った。
その日は市場に行くためにやたらと早起きをして来たので、夕方頃には3人とも疲れきっていてまた今度ということにした。ホテルに帰ってもやることなんてない二人はFacebookに写真をアップすることに忙しかった。僕は画面越しにそれを眺めながら、今回の旅が彼らにいいインスピレーションを与えてくれることを願った。
さて自分のことだ。
その日のうちに僕は隙を見て電話をかけていた。鉄は熱いうちに打て。はやいとこ片をつけた方がいい。僕はいつもちょっと時間を置きすぎてしまう。時間をおいた方がいいときと間髪入れずに言った方がいいときがある。必要なのはテクニックではないような気がするのだ。タイミングである。そしてそれは僕が一番苦手とする科目であった。
「マグロは泳ぐのをやめると息ができなくなってしまい、重い体で沈んでしまうんですね」
飼育係のガイダンスがこだました。
soundscape
by itr-y
| 2012-03-17 12:27
| 日常