2012年 06月 25日
Noise or Voice |
書かなきゃいけない事がたくさんたまって行ってるような気がする。こういう場合、僕は書かなきゃいけない事の多さにいっぱいいっぱいになって、結局何一つとして書かずじまいなことが多い。データが多すぎるとまとめきれなくなって来るのである。一つの文章にして、まがりなりにも人が読んで多少とも理解できる文章を書こうとすると、どうしても時間が必要だ。しかしまあこれは個人の備忘録的、無目的ブログであるのでとりあえず書いておいても問題はないだろうと思う。
6月22日、首相官邸前でのデモに行ってみた。
海外に住んでいる政治経済方面にくわしい友人が、Facebook上でデモの呼びかけを上げていたのを見て、僕はそのデモの事を知った。外に住んでいると、日本のおかしさがよく分かるが、彼もまたそれを感じ続けていたらしい。ドイツに住んでいるから、というのもあるかもしれない。少なくともドイツ国内ではもう原発なんて過去のものである。電力会社だってたくさんある。選択肢があるのだ。
この日のデモも結局報道したのは報道ステーションやANNなど、朝日系の局のみだった。ものの見事である。主催者側の発表では4万5千人がこの日首相官邸前に集まったらしいが、実際にどのくらいの人数が集まったのかは現場にいた僕にもよく分からない。ただ「すごくたくさんの人がいた」事は確かだ。これだけの規模のデモが、日本国内でいっさい報道されなかったというのは、本当にすごい事だ。以前から原発関係の問題が起こる度に、不自然に芸能人のスキャンダルが報道されたり、交通事故だのオウムだの、それとはなんの関係もないニュースばかりをやっていたのは気になってはいたけれど、今回の件は僕の中ではもう決定打だった。別に昔からマスコミの情報操作を知っている人なら、何を今さらと言う感じだったのかもしれないけれど、僕にとっては自分自身の肌で感じた、最初の出来事だった。
全部、コントロールされている。
このブログはネット上の僕の秘密の箱庭みたいなもので、公開しつつもあんまり人に来てほしくないなあ、というなんだかよく分からない面も持ち合わせている。気の合う人なら来てくれてかまわないが、こないだ大飯原発に行った話を書いたら、妙にアクセス数が増えていて、なんだか微妙に居心地が悪くなってしまった。
なんだかなあ。
いったいこの後、何人まで増えたら無視できなくなるんだろう。首相官邸前に民主党の得票数以上の人間が来たらだろうか。いやそんな事はないだろう。たぶん何千万人来た所で無視するんじゃないだろうかとも思う。でもあれだけの人数の人が来ているのを見て、ああ、やっぱりみんなイヤなんだなという事がわかり少しほっとした。それまで職場の人間にもそれとなく水を向けてみた事があったのだ。しかし帰って来た答えは「そう言うのって、どこも報道しないって言っときながらじつはどこかでやってたりするんですよ。その人が見てないだけの事が多いんです」という答えが返って来た。
「デモをやっている人間はたしかにたくさんいるかもしれないけれども、日本国民の総数からしたらほんのわずかですよね。デモを見るとそれが大多数であるかのように見えるけれど、実は意見を持たない人いわゆるサイレントマジョリティーって言うのが大勢いて、彼らはノイジーマイノリティーでしかないかもしれませんよ。それに彼らのうち何人が本当に同じ考えなのかなんてわかりっこないですよね。なんとなく誘われたから来ただけかもしれないし」
と言った。
僕はちょっとむっとしたものの、まあそうかも知らん、と思ったりもした。しかしじゃあ、デモで彼を納得させるには、国民の大多数に当たる人間が首相官邸前に結集しなければいけなくなり、その上さらにその場にいる全員の意見を確認できる「何か」が必要になって来る。その「何か」ってなんだろう。もっと言えば、選挙で投票した所で、その中の何人が「本当にそう考えているのかどうか」が
わかる手段ってあるのだろうか。
そう考えると、人々が何を考えているのかがわかる手段なんて僕らは何一つ持ち合わせていない事になる。やれやれ、なんて脆弱なシステムの上に僕らは立っていたんだろうなと気づかされる。
職場の彼が言った言葉にウソはないのだろうが、矛盾はたくさん見て取れた。そして、多くの考えない人達が、考えないがゆえにそうした矛盾をはらんだまま生きているように僕には思える。
「みんな考えたくないねん、めんどくさいから」
以前にどこかで先輩に言われた言葉を僕は思い出した。
時間になるとみんな帰って行った。もちろん人数が人数だけに、そんなにすんなりとみんな帰れはしなかったけど、規定の時間になったし、つまらない事で警察と揉めてデモがまた出来なくなってしまうと面倒だ。たぶんみんな考えていた事だろう。議事堂前の駅にみんなゾロゾロと吸い込まれて行った。
僕と同じように自転車で来ていた人もたくさんいた。僕は六本木通りを日比谷の方まで滑り降りながら、あれこれと考えにふけっていた。そして結論としては、やっぱり自転車に乗って現場に行こう、自分の目で見てみよう、ということと、いろんな人に会って意見を訊いてみようとという事だった。
とりあえず帰ったらチェーンに油でも注そうと思った。
soundscape
by itr-y
| 2012-06-25 15:29
| 日常