2006年 09月 28日
雨ざらしのヴェスパ |
普段あまり通らない道を走っていたら、道の端に小さなスクーターが停まっているのが見えた。
もう長いこと乗っていないらしくシートはボロボロに破れ、中のスポンジは硬く変色している。
しかし塗装はそれほどダメージを受けておらず、割と綺麗なままだった。
ひょっとして...と近づいてみると、やはりヴェスパであった。
ナンバーも取り外されていたそのヴェスパは、けっこう長いこと放ったらかしにされていたせいで、あちこち細かいところが錆びていた。
スペアのホイール(ヴェスパには必ずスペアタイヤが付いている)も使い物にならないくらい錆びていた。
アパートの前に停めてあったので多分そこの住人の物だと思うのだけれど、それにしてもちょっとほったらかし過ぎじゃないんだろうかと思うくらい痛んでいる。
でも全体的にはしっかりとしていたので、ひょっとしたらレストアできるかもしれない。
ヴェスパは新品で買うと20万以上は軽くするスクーターなので、これはちょっとレストアすればけっこうお得なんじゃないんだろうかと思った。
直して黒尽くめのスーツを着て1人探偵物語とかやるのもいいかもしれない。
ネットで調べてみるとヴェスパの歴史はけっこう古いらしく、実はこれがスクーターというものの元祖なのだそうだ。
膝を隠す大きな泥よけもヴェスパが最初らしい。
スタイリッシュでありながら実用的なデザインのヴェスパは、スクーターのパイオニアなのだ。
そう思うとあの雨ざらしのヴェスパがなんか不憫に思えてきた。
ハンドルに何か撤去のお願いの札が付けられていたらしい輪ゴムがついていたので、ほったらかしにしてくとそのうちどこかに持っていかれるかもしれない。
スクーターぐらいなら部屋の中に持ち込んで修理するのもそんなに無理なことではないだろうし、僕の心はしだいに持ち主に連絡を取ろうかどうかのところで揺れ動いている。
問題はいくらで譲ってもらえるかということだ。
エンジンが動くかどうかわからないので、場合によっては修理代の方が新品よりも高く付く可能性の方が高いのだ。
大体、ほったらかしにしているのには訳がある。
その辺のところをちょっと確認したい。
でもよくよく考えたら今自分の乗っている自転車だってろくに整備していないのに不動のスクーターなんか直せるんだろうか。
財政難の折。余計な物を色々と捨ててせっかく身の回りが片付いてきたのに、ここでスクーターなんか拾ってきたらとんでもないことになりそうだ。
しかしあのヴェスパかっこよかったなあ...
こんなことを延々と考えているのが実はけっこう楽しかったりするのだ。
(注:写真のスクーターはヴェスパではありませんよ)
by itr-y
| 2006-09-28 18:44
| 日常