2006年 10月 08日
匠の技 |
昨日の夕方。
知り合いの飴細工師さんが近所のヨーカドーにて実演販売をするというので、図書館の帰りに見に行ってみた。
吉原さんとは僕のお手伝いしていたNPOづてに知り合った。
その時は単なる家飲み会で飴細工というものがどういうものなのか話を聞くだけだったので、実際に吉原さんが飴細工を作っているところを見るのは今日が初めてだった。
行ってみると休憩中の札がかかっていたのでとりあえず本屋で立ち読みをして暇をつぶしてから行ってみた。
エスカレーターを降りてみるとさっきまで閑散としていたしょぼいブースに、何やら人だかりができている。
作務衣を着て手ぬぐいのほっかむりをした吉原さんが作業に没頭している。
やっている吉原さんの顔も真剣だが、見ている方もみんななんだか真剣な面持ちで見ている。
真剣な表情に時折笑顔が浮かぶ。
無色透明の飴に着色料を混ぜベースを作り、おおまかな形を作ってから糸切りばさみを使い少しずつ細部を整えてゆく。
一体何ができるんだろうと、子どもも大人もみんな固唾をのんで見ている。
ぱちりと切り込みを入れたところが耳になり足になりしっぽになってゆく。
気がついたらそれは見事な竜になっていた。
他にもアンパンマンやケロロ軍曹まで、記憶をたよりにどんなキャラクターも作ってしまう。
すごい記憶力だ。
カブトムシやクワガタまで作ってしまうのである。
僕はもうただただうっとりとその妙技に見とれていた。
仕事が一段落したところでご無沙汰してますと声をかけると吉原さんは人の良さそうな顔をほころばせて挨拶してくれた。
フリーの人というのは皆さん基本的に人懐っこい人が多い。吉原さんもその例に漏れずとても気さくな方である。
一回しか会っていない僕の顔もしっかりと憶えていてくれて歓迎してくれた。
飴細工を作っている間はお客さんはいくらでも来るのだが、作り終わると潮が引いたように途端に居なくなる。
そのかわり何か作っているとすぐに人が寄ってくる。
すごい集客力。
あれこれと世間話をしつつ、忙しい作業の合間を見て吉原さんは特別に僕にひとつ飴細工を作ってあげると言ってくれた。
「何がいいですか?」
と訊かれて僕は少し困ってしまった。
う〜ん...何がいいだろう...
あれこれと考えたけれど浮かばないので吉原さんにおまかせすると、なんとギターを飴細工で作って下さった。
レパートリーにない品なので少し手こずりながらも、できあがったそれは紛れも無くギター。
記憶だけをたよりにここまでできるもんか...
丁寧に指板とフレット、ペグまで付いている。
おまけに譜面も付いている。
透明の袋に入れられた飴細工を渡されて僕はなんだかすっかり童心に帰ってしまった。
吉原さんにお礼を言い、その後もしばらく仕事ぶりを見た後でおいとますることにした。
そんなわけで、今僕のディスプレイの横には袋に入れられたギターがちょこんと置いてある。
吉原さんの話によると何日間かすると水分を吸って溶けてしまうらしいが、とてもじゃないが食う気にはなれない。
もう少し大事にとっておこうと思うのである。
吉原さんのホームページはこちら。
飴細工師 吉原孝洋
http://ame-yoshihara.com/
注文に応じていろいろ作って下さるそうなので、結婚式のお祝いの品や記念品、プレゼントにいいかもしれないですね。
興味のある方はぜひ一度覗いてみて頂きたい。
by itr-y
| 2006-10-08 19:08
| 日常