2006年 10月 19日
財布 |
永代橋を越えた辺りでふと立ち止まった。
あれ?
財布入ってなくない?
自転車に乗る時は基本的に財布をポケットには入れないのでいつもはザックの中にいれているのだが、そのザックの中にも入れたえ覚えがない。
蒼くなった。
もう引き返せるような距離じゃないし、かといってこのまま目的地まで行くのもめんどくさい。
でももうここまで来てしまったのでとりあえず目的地まで行こうと決めて再び自転車を漕ぎはじめた。
しかし何と言うことだろう。ようやくたどり着いた図書館は館内整理日で休みだった。
思わず心の中で
「キターーーーーーーーーーー!!!!」
と叫んだ。
しかし閉まっているものはしょうがない。
しかしコンビニでなにか飲み物を買おうにも財布がないので何も買えない。
どうする。
どうする。
どうすんの!?オレ!!
とりあえず館内のテーブルにかけて持ち物のチェックをする。
家から弁当は持って来てはいるのだけれど、やはりどこにも財布はない。
どこをどう探してもない。
あるのはメモ帳と筆記用具とウィンドブレーカー。
そしてデジカメと携帯。
クソっっ!!デジカメ持って来てんのになんで財布忘れんのよオレ!!
もうダメかと思ったそのとき、僕はとりあえず落ち着いて考えた。
「落ち着け...考えろ....考えるんだオレ....」
ない知恵を必死に振り絞る。
ポクポクポクポク....チーン!
落ち着いてザックの中をもう一回調べてみよう。
何か見つかるかもしれない。
こんなときドラクエとかなら必ず何か見つかるはず。
選ばれし者なら必ず何か見つけるはず。
見つかる訳はないのだが、他にやるべきこともなさそうなのでとりあえず探ってみた。
すると...
ザックの隠しポケットに何やら手応えがあった。
何やら薄くて平べったいものがある。
「あ!!!!」
思い出した。
以前に記帳が満杯になった郵便貯金の通帳を、新しいものに更新したまま二つともポケットに入れっぱなしにしていたのだ。
そしてそのままずっと忘れていたのである。
恐る恐る取り出してみると...
おお!!やっぱりそうだ!通帳ちゃんである。
「助かった!」
これでなんとか渇き死にせずに済みそうだ。
さっそく近くの郵便局まで行き、ATMでお金を下ろす。
「残高が足りません」
なんてオチもなく、無事にお金は出てきた。
「助かった...」
よく晴れた空の下、郵便局を出ると僕はもう一度呟いた。
by itr-y
| 2006-10-19 23:14
| 日常