2006年 11月 11日
Take it easy |
以前にジャクソン・ブラウンが来日した時に僕は小さなチラシを手にしながらずいぶん行こうかどうか迷っていた。
一般的にあまり知名度の低いミュージシャンだと、当日券がいくつか余るがあるからだ。
僕は当日の昼頃までずっと悩んでいた。
結局、その時は財布と折り合いがつかず行かずじまいになってしまった。行けばよかったと今でも後悔している。
ジャクソン・ブラウンは知名度が全然低い事なんか無いんだけれど、まあ多分「世間一般」の人達は知らないだろうなあと思う。
かくいう僕もこの人があの「Take it easy」の作者であると言う事を今の今まで知らなかった。(グレンフライとの共作なんだそうだ)
イーグルスの曲じゃなかったんだ。
南カリフォルニアのオレンジカウンティで育ったジャクソンブラウンは高校時代から曲を書きはじめた。
ライブハウスなどで活動し、一時期はニッティーグリッティーダートバンドにも在籍していたのだそうだ。
これにはちょっと驚いた。その後ニューヨークに出てティムバックリーと知り合う。
その後、ブルース、フォークシンガーでもあるトムラッシュと出会い、彼によって作品が取り上げられる事になる。
この頃からブラウンのまわりには様々な人脈が形成されていく。
イーグルス結成前のグレン・フライ、JDサウザー、デイビッド・クロスビー、デイビッド・ゲフィン、エリオット・ロバーツ。
そんな中でブラウンは彼のサイドマンとして長く活動する事となるデイビッド・リンドレーと知り合う。
様々な楽器を演奏するリンドレーに加えて、ベースとコーラスを担当するダグ・ヘイウッドが加わり彼の作品には厚みが増してゆく。
もともと曲もメロディーラインも地味な人なので、優れたスタジオミュージシャンの力が必要なのである。
聴いていると、なるほど確かにブラウンのシンプルで薄味のサウンドがデイビッド・リンドレーのツボを押さえたアクの強さによって補強されて曲の陰影がくっきりと浮き出されてくる。
カントリーミュージックにとってこのポイントは非常に重要だ。
しかしブラウンの曲が地味だからといってそれが味気ないかというとそんな事はまったくなく、むしろそのクリアさの中に非常にしっかりとした世界観が形成されている。
シンプルなんで飽きがこない。
飽きの来ようがないと言った方が良いかもしれない。
最初っから飽きている。
カリフォルニアの乾いた風を思わせる音は、スピーカーを通してその香りまでも届けてくれるようだ。
かっちりとポップスの範疇に収めてあるロックチューンは、ふんわりとした空気感を箱に詰めて梱包してあった。
お中元にちっこい缶ジュースの詰め合わせを貰ったような気分にもなる。
うん。
悪くない。
by itr-y
| 2006-11-11 15:57
| 音楽