2007年 02月 07日
哲学的な犬 |
最近、野良犬というかはぐれ犬によく会う。
本格的な野犬というのではなく、なんとなくふらふらしているというかなんというか。
何となくそこにいますというような犬。
どこかで誰かに飼われているのだろうけれど、なぜか一人でふらふらしている。
何をしに来たのかそこんところもちょっと不明。
彼らの多くはどこか気のいい雰囲気と、少し怯えたような表情をもっている。
そんなにビクビクオドオドするいうんでもなく、一定以上の距離をきちんとわきまえている。
不忍池のほとりで不思議な犬に出会った。
印象的な顔立ちの犬だった。
とことこと飼い主もなく一人で歩いているので、おやっと思ってしまった。
その歩き方があまりにも自然な感じなので、一瞬なんかおかしいなということにも気がつかないくらいだった。
立ち止まって見ているとふいに目が合った。
お互いにじっと見つめあいながら僕はじわじわと距離を狭めていった。
突然逃げるようなこともなく、彼はこちらの方をじっと見ながら少し不安げな表情をしていた。
でも逃げるようなことはない。
見れば見るほど不思議な顔立ちだ。
老人のような髭と眉毛。
けっこう年はとっているのだが、体つきはわりとしっかりしている。
そして何よりも目の光がとても知的だった。
不思議な色をしている。
犬というよりも人間っぽい。
そんなはずはないのだが、明らかに相手の方が自分よりも年上だった。
手を差し伸べてみてみたが、あまり興味は示さなかったらしく、すぐに踵を返して歩いていってしまった。
首輪を下げているところを見るとどこかで誰かに飼われているらしいのだけれど、なんで一人で歩いていたのかがよくわからない。
本当に飼い犬なのだろうか。
さっきまでと同じ調子でとことこと歩いていってしまった。
道行く人もおやっというような感じで彼が歩いてゆくのを眺めていた。
もしかしたらこの辺りのホームレスのおじさんと同居しているのかもしれないな。
後ろ姿を見送りながらそんなことを思った。
by itr-y
| 2007-02-07 18:41
| 日常