2007年 09月 25日
同じ星の人ですか? |
久しぶりに恵比寿に行った。
今度イタリアに行ってしまうという人の誘いで飲みに連れて行ってもらったのだ。
夏前ぐらいからずっと飲みいきたいねとはいっていたのだけれど、なんだかんだ言って双方の都合が合わず、(厳密に言えば相手の都合が合わず)先延ばしになっていたのである。
こういうのってタイミングが合わないときは思い切って行くしかないと二人とも思っていたので、金曜の夜ではなく、連休明けの火曜日の夜というひどく閑散とした日に行くことにした。
5時きっかりに終わるその変な職場からあがってしばらく恵比寿のアトレでウロウロし、有隣堂のステーショナリー売り場でちょっといいものを見つけたので友人のプレゼント用にそいつを買った。
ガーデンウォークを出てみると月が出ているのが見えた。
外に出て初めて今日が中秋の名月だということを思い出した。
外の風が寒くもなく暑くもなくちょうど心地いい。
南口を出てから僕らはしばらく歩き、住宅街に少し入ったところにあるアイリッシュパブに入った。
恵比寿に来たからにはヱビスで始めるわけで、パイントグラスになみなみと注がれたそいつをぐっと飲み干した。
最初は何となくぎこちなかった空間が少しずつほどけてゆく。
ウィークデイのけっこう早い時間なのであまり誰もいなかったけれど、キルケニーからギネスに移る頃には常連とおぼしき客でカウンターはにぎわった。
少しいろんな話をした。
酒の話、食の話、仕事の話、職場の話、家族の話。
久しぶりの感覚だった。
こうやって酒を飲みながら話すというのは。
酒と食をこよなく愛するその人は、いろいろと食の話をしてくれた。
初心者が飲み始めるのにちょうどいいスコッチと、甘いお酒しか飲んだことのない女の子でも飲めるワインというのを教えてもらった。
僕にとっては数少ない人生の先輩であるその人は、僕の質問にたいしてひとつひとつアドバイスをくれた。
たいていの人間がアドバイスをするときはそれはたいてい主観になってしまうが、彼のそれは主観ではありつつもけして決めつけるようなことをせず、あくまでも一意見としての体裁を保ったものだった。
基本的に酒飲みのその人は確かに少しは酔っているものの、いつもと同じ調子で話を続けた。
父親が死んだときのこと。
後悔しか残らなかったこと。
いないはずの父の分の夕飯の材料を買ってきていた姉のこと。
「それは君から切り出すべきだよ」
それがその人のアドバイスだった。
僕は少し間を置いて
「わかってます」
と言った。
soundscape
by itr-y
| 2007-09-25 10:47
| 日常