2008年 04月 30日
霧 |
ひどい電話をした。
ずいぶんと電話も慣れては来たが、あいかわらずこの機械は好きになれない。
夢を見た。
霧の夢だ。
朝起きるとそこはいつもの自分の部屋。
特になんの変哲も無いワンルームの小さな部屋だ。
しかしなんだかいつもと様子が違う。
妙に薄暗いのである。
おかしいな。
そう思って窓のカーテンを開けてみると外がまだ暗い。
まだ夜が明けていない。
しかし時計は朝の7時を指している。
それにまだ夜が明けていなかったとしてもちょっと暗すぎる。
よく見てみると街灯がぼんやりとしている。
光のまわりにもやのようなものがかかっていて、そこでようやく霧が出ていることに気づいた。
街灯とその周辺のあたりしか見ることができない。
恐ろしいくらい静かだ。
霧に音がすべて吸われてしまっているのだ。
僕は仕方が無いのでパソコンの電源を入れてみた。
いつもとは違う画面が出てきた。
絶えず変化するモザイクのような模様の中に魚の映像が混ざっていた。
水の中から撮影したと思われるそれは、くねくねと混ざり合ってはまた新しい魚を作り出し、そしてまた次の形を作り続けていく。
それが魚から風景画に変わり、また次の形を作り出していった。
どうすることもできなかったので僕はそのままベッドに横たわり、また少しウトウトした。
そしてまた起きてみるとやはり部屋の中が暗かった。
デジタル時計は同じ時間を指している。
そして世界には僕だけだった。
そんなことを何度か繰り返したと思う。
何回も霧の夜にいて、起きると何もかもが止まってしまっていた。
そして僕はそれを7回ぐらい繰り返した時点でようやくそれが繰り返しであるということに気づいた。
どうなっているんだ。
すこしうろたえた。
でもどうすることもできなかった。
僕はそのうちまた眠りについて、どうすることもできない回廊の中をずっとさまよった。
ラジオの音が聞こえた。
いつも聴いているラジオ局のジングルが流れてきた。
僕はまたどうせ霧の夜にいるんだろう。
そう思って頭を少し窓の方に向けた。
カーテンの隙間から日が射していた。
soundscape
by itr-y
| 2008-04-30 11:13
| 日常