2008年 06月 22日
霧の奥深く |
風邪っぴきの頭はぼんやりとしたままで本当にもう何もやる気が起きなくなってしまった。あんまり何もする気が起きないので帰宅してシャワーを浴び、ヨーグルトを食べて薬を飲んでそのまま寝てしまった。しかしなんだか眠りにつけず、2、3時間ほどすると太ももの下あたりが汗をかき始めたので、あきらめて起きることにした。
早く帰ってきたのでまだ0時にもなっていなかった。
フローリングの床を裸足でぴたぴたと歩きながら冷蔵庫の方に歩いていった。あれほどやる気が無かったのにも関わらず、いったん寝られないとわかると僕はたまっていた仕事の書類だのを片付け始めた。最近何度もなんども繰り返し聴いているモノフォンタナのピアノを聴きながら少し落ち着いた気分になっていた。
精神的な袋小路に入ってしまってもうどうにもならないと思っていた矢先に、不意に開けた空間に解放されることがある。こんな場所があったんだと気づくことがある。きっかけは一生懸命走ったりだとか、何かを寒空の下待ち続けたりとか、こんな風に寝付けない夜だったりする。時々僕は自分でも無意識にそうした行動をとっていることがあって、気がついたら誰も知らない場所にたどりついていたりしていた。
なぜそんな空間ができたのか。
どうしてそんなものが必要なのか。
それはわからない。ただそこにあるはずのものがそこにはなく、そこには無いはずのものがあったりした。どこかへ行くためではなく、どこかから来るもの。そんな場所なのだ。そんな空間の中で僕は一人そこにあった石に腰掛け、ぼんやりとあたりをみまわしてみた。
あれほど騒がしかった喧噪も今は何も聞こえず、ただ耳鳴りがするほどの無音が広がっている。
「まだあったんだ」
そうつぶやきながら僕は深呼吸をした。
soundscape
by itr-y
| 2008-06-22 00:42
| 日常