2008年 10月 20日
EXIT |
ようやく手に入れたものを前に僕は少し呆然としていた。
求めていたはずなのに、それがいざ手に入るとどうしていいかわからなくなる時がある。
膝が震えて声が出なくなる。
あれだけ求めていたはずなのに。
いつだったかとてもとても大きな魚を釣り上げた時もそうだった。
大きな魚体をなんども膨らませながら陸の上で水から上がったばかりの鰭をゆっくりと翻しながら、その魚はこちらを見ていた。
殺意でもなければ悪意でもない。
ただお互いにお互いを見つめ、何が起こったのかをもう一度確認しようとしていた。
何が起こったのかわからないのである。
そういうものなのだ。
僕はまたここから動き出さなくてはならないのだが、そこから動き出すためには勇気が必要だ。
僕は自分自身を勇気づける必要があったけれど、自分の行動に自信が持てなかった。
本当に僕は正しい行いをしているのだろうか。
そもそも正しさなんて求めていたのか。
自分の中で何か矛盾がありはしないか。
そんなことをずっと考えている。
はっきり言ってどうすればいいのかわからない。
どこに行けばいいのかわからない。
ちがう。
行くべき所はわかっている。
ただ何かひとつ歯車が狂ってしまっただけでこの話はすべてが瓦解してしまう危険性もあった。
大丈夫か。
「迷いはないか?」
僕はもう一度問いかけた。
soundscape
by itr-y
| 2008-10-20 11:27
| 日常