2009年 06月 09日
While my Guitar Gently Talk's |
ひょんなきっかけで様々な人に出会うこともある。
この日、ふらりと訪れた近所の店でとあるミュージシャンに出会った。
本当はライブハウスにでも寄って、ギターでも弾こうかと思ったのだけれど、金がかかるのでやめたのだ。
彼は僕の父親よりもすこし年下ではあるが恰幅のいい男。
顔つきにとても人懐っこい所があって、パッと見で音楽の人だなというのがわかった。
西海岸の訛りがある。
というのはもっとも彼の話を聞いていてそこの出身だと言ったからなのだが、風貌が明らかにウェストコーストだった。
話を聞いていくと彼は名だたるミュージシャンとともに長いことツアーなどの仕事をしてきたギタリストで、ギターのみならず様々な楽器が弾けるのだそうだ。
その店にはマスターのギターがいつも立てかけてあるのだが、そいつを使って自己紹介がてらお互いに数曲披露した。
プロのギタリストだというので少し緊張したのだけれど、なんとなく落ち着いて演奏できたのは彼の人柄のおかげなんだろう。
彼がどのくらい凄いのかと言うと、僕がよくエントリの終わりに紹介してあるミュージシャンと一緒にツアーを廻っていたらしい。
ギターの話や音楽の話で盛り上がった。
「こいつになにかアドバイスしてやってくれよマーク。上手いんだがもっと良くなると思うんだ」
マスターがそういった。
「...そうだね。大事なのは心でプレイすることだ。自分が楽しくなくては聴いている方も楽しくない。ギターはあくまでも器であって大事なのは歌に心があるかどうだ。彼にはそれがあるよ」
白髪まじりの頭を掻きながらマークはそう言った。
彼がもうすぐ帰国してしまうのだということを知って僕はがっかりした。
せっかく知りあえたというのにな。
「またいつでもこの店に来るときは言ってくれよ。オレも行くから」
彼はそう言って笑うとビールメーカーのロゴの入ったキャップを深くかぶり直し、のっしのっしと帰っていった。
いろんな人がいる。
しばらく僕はカウンターに残ってギターを弾いていた。
soundscape
by itr-y
| 2009-06-09 11:07
| 日常