2010年 03月 06日
松竹 buy |
久しぶりに雨が降って寒くなった。
最近、天気図をチェックすることがなくなってしまったので油断していた。前線が近づいていたのだ。防水効果のない薄手のウインドブレーカーは3分も持たずに、その下に羽織っていたセーターを湿らせた。
東京での自転車移動は、イコール体温調整だと言ってもいい。
アップダウンの激しい埃っぽい街。やたら暑い風が吹いたかと思えば一気にざあざあ降りになって、その後一気に冷え込んだりする。薄手のゴアテックスのレインコートと、間に着る吸湿性の高いシャツは必須だ。
特に僕の場合は自転車乗りを自負しながら、未だにハイテンの重たい素人自転車を使っているので、体への負担が大きい。早く自分の一台を新調しないといけない。でも今すっからかんだ。
相変わらず問題は山積していて、こんなんでもっかいベルリン行けるのかなとちょっと途方に暮れている。でも自分の性格だから間髪入れず仕事プライベート区別なく予定を入れてかないとまたたぶん茫然自失となってしまう可能性があるから、ちょっとでも動かないといけない。
なんでもいい。とにかく動かないと。
ギターが手元になくて、イライラしていた。なんでもいいからとにかく弾かせろと、お茶の水の楽器屋に寄って試奏をしてきた。こういうとき東京にいるというのはいい。さんざんビンテージのギターを弾き倒して「いやあ、やっぱりいいですねえ」とかなんとか適当なことを言って「ちょっと検討してみます」とお決まりの台詞を残して店を後にした。楽器屋なんてこんな客ばかりである。
でもそのギターはちょっと欲しいのである。
以前にも弾かせてもらっていて、今回来てみたらまだあったのでもう一回弾いてみたのだ。
そのギターの欠点は、著しく改造と修理が施されているという点だった。それゆえ、本来なら貴重なギターなのだけど日本のビンテージ楽器市場では高い値がつかず、やむなく値段を下げられていたのである。そして、彼にはもうひとつ欠点があって、「『ビンテージにしては』今ひとつ音質が硬い」のである。
そのギターなら、個体差はあってもたいていそのメーカーの音がするんだけれど、彼は修理と塗り直したせいなのか、今ひとつ硬いのである。そしてリフィニッシュのカラーもなんだか不思議な色で、いかにもビンテージという感じにはほど遠かった。確かにこれで30万近くはあまり誰も出したがらないだろう。
でも僕はそう言うギターが大好きなのだ。
逆に日本人が欲しがるミント状態の手つかず、ニューオールドストックみたいなのにはあんまり興味がない。なんだか処女をありがたがるノリに似ていると思う。
楽器には楽器の辿ってきたドラマがあり、そういう運命をたどってきた楽器には魂が宿っていると思う。だから、性格にやや難があるけどなんか気になる女の子みたいに、どこか欠点があって不完全だけどキャラの強いギターが好きだ。
しかしまあ今は経済的に戒厳令が発令されている。
楽器を買うだなんてもってのほかだ。
でもなんか気になるんだよなあ。
これだからお茶の水によるのは危険なのである。
そうだ梅の花が散って、桜が咲いて、ほんでもって桜が散ってまだ売れ残ってたら考えよう。そうしよう。
soundscape
by itr-y
| 2010-03-06 22:47
| ギター