2013年 11月 05日
琥珀 |
ちょっと疲れた。でもひさしぶりに釣りをした。魚の引きも味わえた。十分だ。
朝からずっと雨続きでてっきり中止になるもんだと思っていたのに、釣行は中止にならなかった。誘ってくれた人は医者で、なおかつ高校の先輩である。偶然にも同じ高校の出身であることがわかったのはわりと後のことだった。
猪突猛進なタイプの人で、基本的にあまり人の話を聞かない。でもその反面人好きのするタイプで、好きになった人にはどんどんアプローチをして来るタイプだ。僕はしかし人付き合いが悪く、他人と過ごす時間が多いとストレスを感じてしまう。だからいくら好きな釣りであったとしてもそんなに進んで行くことはなかったのだけど、今回、なぜかふと行ってみたくなって一緒にボートに乗船させてもらうことにしたのだ。
船に乗っていつもの街から出ると言うのはなかなかふつうの人には出来ない経験である。僕はいつもは陸から見ている風景を、海面1mくらいのところから眺めて東京湾の風を胸の奥まで吸い込んだ。それだけで十分だった。釣果はイナダが一匹とサバが一尾、そしてシーバスが5本くらいだったろうか。狙っていたサワラは釣れなかったけれど十分だった。
帰ってからは洗濯洗濯だった。釣りに使った衣類を僕はすべて洗濯機につっこみ、雨にも関わらず肌着や靴下はおろか、ザックやレインコート、タックルバッグにいたるまですべて洗ってしまった。おかげですごくすっきりした。忙しかったけれど充実してたのではないだろうか。僕はそれなりに人付き合いをして見ようとしている。でもたぶん次の一ヶ月は引きこもることになる。
ああ、でもしかし秋山にも一度行っておきたいなと考えている。山の中で一人きりになりたい。山の中で一人になる感覚をまた味わいたいと思っている。脈打つ心臓の音と、風に揺れる葉ずれの音。人工の音がいっさいしないあの空間に行きたい。11月もあっという間に過ぎ去ってしまうだろう。人の世に関わらなくても、世界はけっこう忙しいのだ。
いろいろと気づくことが多い一年と少しだった。新しい仕事は自分と他者の違いを明確に意識させられることになるものだったし、軽く失望する反面、自分自身のことにも目が向くようになった。すこし他人の問題に足を突っ込みかけて引き返したりもした。危ないところだったと思う。僕は以前の恋人に感謝した。彼女がいなければ意識することはなかったかもしれない。自己に向き合わなければいけない。
図書館で借りる本、そして書店で購入する本が増えてきている。これもわりといい兆候だと思っている。本来、僕はそうあるべきだ。あいかわらずいろんなことを知っている人でいたい。じっさい、興味はあいかわらず前方向を向いている。ひとところにエネルギーが定まることはない。でも最近はそれでもいいかと思ったりもする。必要なときだけ集中すればいいや、と思う。
たくさんやるべきことがあるのだ。でも、それをきちんとやってから彼女に再び会いたいと思う。ありがとうの言葉は、琥珀に入れて眺めるものではないと思うから。
by itr-y
| 2013-11-05 00:16
| 釣り