2006年 08月 02日
怒りの葡萄 |
いつものように川沿いの道を走っていると、道沿いにあった草っ原にフェンスが張り巡らされ、重機やトラックがそこの空き地を掘り返していた。
ふと対岸を見ると、向こう岸の方にあった空き地も同じように掘り返されている。ついこの間写真を撮った所なのに、美しかった緑の草原は無惨にもほじくり返されていた。
いつもこの道を通るときのあの開放感が好きだったのに、三番瀬の方の海岸といいこっちの沿道といい、何が何でも関係者以外は入れないという、明確な敵意をむき出しにした鋼鉄のフェンスがぐるりとあの平和だった空き地をとり囲んでしまいつつある。
こちらとしては長年そこに住んでいるのにも関わらず、地元の開発に口出しひとつできないのである。
だけれどいくらその土地を買ったからと言って、好きなようにいじくり回されるのは気に食わない。
だいたいお前らはよそもんじゃねーのか。
金払えば何建てたっていーのか。
(いーんだけど)
もう残り少なくなった空き地はどんどん追い立てられ、以前に「島」と呼んでいた埋め立て地の端の雑木林まで迫ってきている。
ここまで海岸線いっぱいに、ギチギチに建造物が建てられてしまうことは、10年前には僕も全く予期していなかった。何もない空き地はもう本当に数えるほどになってしまった。
僕はただただ呆然としていた。
そして怒っていた。
何でこんなに怒っているのか、自分でもよくわからなかった。
だけど本当に怒っていた。
だけど誰に怒ればいいのだろう?
あの空き地は僕にとって大事なものだったんだ。
そう叫びたかった。
誰に言えばいい?
誰を殴ればいい?
by itr-y
| 2006-08-02 22:19
| 街