2006年 09月 09日
魅惑のオイルコンデンサー |
今日は久しぶりに友人二人と秋葉原に出かけた。
いつもは自分一人だけで自転車で行っているので、電車で行くとなんだかえらい遠いところに来たような気がする。
昨日、三人で飯を食いがてら話をしていた時に友人Aくんが最近電子工作をしていて、ハンダ付けの練習ようにユニバーサル基板を探しているという話をしていたので、じゃあ今度秋葉行こうかということになったのだ。
僕は趣味のギターの延長でエフェクターの製作などもやっていたので、秋葉原の電気街、特に量販店などではなく電子パーツの店にはある程度詳しかったから案内役を買って出たのである。
秋葉原のパーツ屋というと、行ったことのある人はガード下のラジオストアーを思い出すのではないかと思うが、僕がよく行くのは自作野郎の聖地と呼ばれる、秋葉原ラジオデパートである。
自作と行っても僕の場合は製作記事を読んでそのエフェクターを作ったり、そこに自分なりの改造を加えるぐらいである。
まあ多くのギター小僧とやってることは大体同じだ。
自作すると安くつくのかというと、これがそうでもない。
半田ごてや、その他パーツ代などであれこれと出費はかさみ、最終的には買い集めた部品代だけで何台かエフェクター買えるんじゃないの、というくらいお金はかかる。
おまけに無事完成するかどうかなんの保証もない、壊れても誰も保証してくれない。
だから自作に手を出すのはほんの一部の人間だけである。
ラジオデパートは中央通りの横断歩道を渡ってちょっと入ったところにある。大きくオレンジの電光掲示板で「ラジオデパート」と書かれているのですぐにわかる。
狭いビル内に多くの店がひしめいているところだが、この狭っ苦しい空間と、この古い建物の匂いが僕はとても好きだ。
とりあえず3階の門田無線に行き、お目当ての基板とビスをいくつか買ったあと三栄電気と海神無線をのぞく。海神さんはなんだか混んでいたので裏手にまわって桜屋電気(2階の方)をぼんやりと眺めていた。
2階の桜屋さん(1階の入り口にもあるので)は品揃えがすべて海外のビンテージパーツで、ギター弾きにはこたえられない一品がずらりと並んでいる。
古くさいコンデンサー。色あせた配線材。デッドストックの抵抗器。
見たこともないパーツに会えるこの店は、秋葉に来た際にいつも立ち寄る店でもある。
見ているだけでも飽きない光景だが、たまに自分の少ない予算でも買えるようなパーツがあるといくつか買ってきてしまう。
古いパーツははっきり言ってそんなに良い音のするものばかりではない。
基本的にすべて経年変化を起こしてある程度劣化しているので、使い方によっては全く役に立たないような代物も多い。
しかし、エレクトリックギターという楽器の場合は楽器の特性上、高域がキンキンと耳障りに聴こえることが多い。だからギターアンプはその辺の特徴を考慮してオーディオアンプとは異なる帯域、中域と低域を中心にブーストするように設計されている。
オーディオアンプではダメなものが、ギターアンプでは良かったりするのである。
これがギターという楽器の面白いところだ。
久しぶりに行ってみると店のお兄さんと目が合った。
「どうも、しばらく」と軽く挨拶をする。
いぜんにも回路の不具合を見てもらったりしてたので一応顔見知りなのである。
部品を物色していると、ひとつの古いコンデンサーが目に入った。
PYRAMIDと書かれた古いオイルコンデンサーだった。
いかにも「俺コンデンサ」みたいな男らしい風格のコンデンサーである。
「これは一体何者ですか?」と訊くと。
アメリカの東海岸側の方の会社らしく、スプラグのように日本ではあまり有名ではない会社なんだそうだ。
ビシェイやスプラグ、ビマなどなら聞いたことはあるが、ピラミッドとは初耳だった。
なんとなく見た目が気に入ったのと、値段が安かったこともあって購入することにした。
ホント言うと買おうかどうか迷っている時にお兄さんが
「音いいですよ、ソレ。」
と言ったのが決め手になったのだが、このお兄さん何を手にとっても同じことを言うのである。
でもしかし久しぶりにビンテージコンデンサーを買ったので、なんだか嬉しくなってしまい、帰りに寄ったハンバーガー屋でも僕はずっとそのコンデンサーを撫で回していた。
まあいわゆる「コンデンサー廚」というやつである。
回路にしてみると大していい音がしなかったりすることも多いビンテージコンデンサーだが、僕はひとつひとつ性格や表情を持つこの電子部品が大好きなのである。
今、ビールを飲みつつこのコンデンサーを指でいじくりながらこれを書いている訳だが、
さて...
これでいったい何を作りましょうかね。
ふふふふふふ。
by itr-y
| 2006-09-09 23:29
| ギター