2006年 10月 13日
団子坂のぼって |
せっかく気持ちよく晴れて風も心地よかったので、再び文京区の図書館に出かけることにした。
この間行ったときには閉まっていたけれど、今日はきちんと開いていた。
文京区立本郷図書館は以前は鴎外記念図書館として、森鴎外の昔の住居跡に建てられていた記念館と同じ建物の中にあったのだが、最近新しくできた建物の中に図書館だけが移動したらしい。
この間閉まっていて入れなかった図書館の部分は明るく開けていて、以前のような薄暗い陰気な建物とはまったく違った明るい雰囲気になっていた。
文京区の辺りは民家が多いので土地が狭く、ひとつひとつの建物を建てるのにも一苦労である。
そんな中これだけしっかりとした建物を設計できる建築士の人の仕事には脱帽だ。
もともとこの近くには僕が通っていた高校があって、僕は以前にここであった講演会に行って以来よく寄るようになったのである。
講演会に来ていたのは誰あろう養老孟司先生だった。
まだ「バカの壁」なんていう駄本を出す前のことだ。
基本的に都営の白山駅を使っていたのであまり千駄木の方には行かなかったのだが、たまに気が向いた時にこっちの方にやって来ていた。
白山駅の方は味気ないけれど、根津や千駄木の方はまだ下町の雰囲気が残る情緒ある町並みだ。
これが谷中の方に行くとさらに下町っぽくなるのだが、こっちの方まで行くと道に迷ってしまう可能性がある。
とりあえず僕が高校の頃行っていたのはせいぜい千駄木どまりだった。
講演会のチラシを見てその図書館の存在を初めて知ったのである。
図書館では時折定期的に講演会を開催していて、作家さんや大学の先生など、いろんな著名人を呼んで講演をしていたのである。
もともと母親が養老先生のファンだったのでそれとなく僕も読むようになったのだけれど、この講演会には行ってみて正解だった。
小さいホールでやるのですぐ近くで養老先生の話を聴けたのである。
同じような若い養老ファンのお姉さん二人も少し興奮気味だった。
地元のにわか知識人たちや、ファンの人が集まって終始和やかな雰囲気の講演だった。
新しい建物になっても図書館の中には以前と同じように地元に人達がのんびりと雑誌を読んだりしていて、相変わらずゆるい時間が流れていた。
基本的に図書館が好きなのでよくあちこちの図書館に行くのだが、なにかとここの図書館に寄ってしまうのは、建物のせいというのもあったけれど、むしろこの街の雰囲気がそうさせてしまうのかもしれない。
日が落ちて少し肌寒くなった団子坂を滑り降り、僕は浦安へと家路を急いだ。
by itr-y
| 2006-10-13 19:20
| 日常