2006年 12月 07日
They're Red Hot |
基本的にブログは読む人も書く人も赤の他人である。
僕も。
あなたも。
たぶん。
午後2時を過ぎた頃に、しばらく迷ったあとで結局自転車で出かけることにした。
今日は寒いからと厳冬期用のダウンジャケットを着ていったのだけれど、これが走り始めると暑くてしょうがなかった。
仕方なくギターバッグにくくりつけ、少し走りにくい状態で走る。
いつものように永代通りをさかのぼり、日本橋からお堀の方に抜けて後はお堀に沿ってぐるりと坂を上っていった。
桜田門、議事堂を通り過ぎて久しぶりに青山通りに出る。
麹町のローソンで一休みした後、赤坂見附、外苑前を通り表参道に抜け、そこから井の頭通りに沿って走る。
なんどか緩やかな坂道を上り下りした後で脇に商店街の入り口を見つけ、そこに入って住宅街をくねくねと走る。
住宅街に入るとそこから明らかに空気の匂いが変わった。
もう薄暗くなった道は、くねくねと曲がりくねっているにも関わらず、なんだか手招きをして誘導してくれているみたいだった。
それほど迷うこともなく下北沢の街に到着した。
正味2時間10分。
いちおう3時間ほど余裕を見ていったのだけれど、十分過ぎるくらいだったみたいだ。
ライブハウスの脇に自転車を停め入ると店の人は「はやいですね」と言った。
店準備の準備ができるまでの間、その辺をうろうろする。
デジカメの電池が切れてしまっていたので、せっかく下北まで来たのに一枚も写真を撮れなかった。
別に電池を買えばいいのだけれど、なんだかここで買うのも癪な気がしたのでやめた。
ふらりとギターショップに入って試奏をして暇をつぶした。
(迷惑)
ライブが始まってしばらくした後に、放浪カメラマンKがやって来た。
てっきり来ないと思っていたのでちょっと意外だった。
「お客さんキミ一人だけだよ。」と言うと
「いええ...!」
とちょっと大げさに驚いてみせた。
数組の出演者がゆったりと登場し、何人かお客さんも来て、だんだんいつものライブハウスの感じになって来た。
結局、三人のお客さんが来ただけで僕の番になった。
いつもブルースを一曲やった後で始めるのだけれど、この日は「Hear My Train a Comin'」をやる。
うまく歌えるか心配でもあったのだけれど、さほど緊張することもなく割とのびのびと演奏できた。
こういうのはハコの影響というのも多分にある。
曲間のMCで「今日は浦安から自転車で来ました」と言うと、みんな
「えええ!!!!!」
とやたら驚いていた。
そんなに驚かんでもいいだろ。
自転車で行くオレもどうかと思うけど。
最後の方になってライブハウスのドアが開きひょっこりとサラリーマン風の男性が入って来た。
誰かのお客さんなのかな?
と思いつつも演奏を続け、無事最後まで特にこれと言ったヘマもなく出番は終わった。
「お疲れさまでした」
次の人と挨拶を交わし、カウンターの方に戻った。
後片付けをしていると、例のスーツ姿の人が話しかけてきた。
何かなと思って聞いてみると。
「あの....ブログ見て来たんですけれど...」
と言った。
「.......え!?.........あ....ありがとうございます!」
「ちなみに誰だかわかりますか?」
「............へ?」
「あの.......リンクいただいてるんですけれど.......」
「.......え、ええ〜と〜........〜さん?」
少し苦笑しながら
「いえ.......ちがいます...........。」
「あ! あ〜、ひょっとして〜.......。korotyanさん?」
(@ゆっくりFrogライフ)
「はい」
「!」
僕はその人の顔をもう一度見て思わず握手した。
「あ!ありがとうございます!!わざわざ来て頂いて!!!」
僕がこのへんてこブログを始めてから、はやもう半年が経とうとしているけれど、他のブロガーの方とこうした形で実際にお会いするのは初めてだった。
あの告知で実際に来てくれる人がいるとは思わなかった。
僕は嬉しくて、思わず次の人が演奏している最中にいろいろと話をしてしまった。
korotyanさんは本当にブログと同じような雰囲気の方で、なんだか自分の今居るところに対して興味津々のようだった。
好奇心がこっちにまで伝わってくる。
korotyanさんは僕に一杯おごってくれ、二人で乾杯し、僕はありがたくそれをいただいた。
ブログのこと。お互いのこと。演奏を聴きながらいろいろと話に花が咲いた。
会社帰りにわざわざこっちまで来て下さったのだそうだ。
「有意義な時間の使い方をしたいじゃないですか」
そんな台詞が心に滲みた。
僕の演奏がはたして有意義だったかどうか自信はないけれど。
店の人が、「時間が余ったので出演者の皆さんでセッションしませんか?」と言った。
みんな店の中程にイスを円形に置き、ギター3本。ハープ2丁でいくつか適当な定番曲をやった。
「Sweet Home Chicgo」
「Cross Road」
なんだかよくわからない曲。
「あともう一曲くらい何かないですかね?」
と来たので僕は「They're Red Hot」を弾きはじめた。
歌詞なんか適当である。
わめきちらすように投げやりに唄い、どんどんテンポは速くなっていく。
最後は客も出演者も店のスタッフも大合唱になり、その日のライブは終わっていったのだった。
基本的にブログは読む人も書く人も赤の他人である。
僕も。
あなたも。
たぶん?
by itr-y
| 2006-12-07 19:53
| 日常